第7話 みかん

 私はみかんが好きだ。甘いのより緑色をしたすっぱいのが好きだ。前はよくスーパーでみかんを買ってきていた。しかし今はもう買わない。少量でも痛む前に食べ切るのが難しいからだ。

 買っていた頃はこたつの真ん中にみかんを置いていた。私からも夫からも手の届く場所。しかしなぜか私しかむいて食べない。むいたものを

「食べる?」

と聞くと食べる。

 ある日

「みかん好きじゃないの?」

と聞いてみた。

「好きだけどむかない」

「むいたら食べるの?」

「うん」

 なんて奴だと思った。みかんの世話までしたくなかったので、それ以来みかんを買うことはやめた。

 他のフルーツも同じなので今はバナナしか買っていない。たまに親族がリンゴを送ってくる。その時は頑張って頑張ってむく。技術の問題ではなく気持ちの問題だ。

 しかし頑張って食べられる状態にしたフルーツを夫は

「美味しい」

と食べてくれる。それならまあたまにだし良いのかもしれない。

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