ガク2

 あああ、ああ、ああ、ああ、ううん、ううん、うう。痛いのは怖いと常に思う。窓を開ければ冷たい冬の風が部屋に入ってくる。おれは布団に身体を埋めて、その冷え切った空気を鼻先で感じながら、冬の煙の匂いの混じった空気を吸いながら、眠る。眠る。眠りたいと思う。眠る。眠れなくても眠る。今眠らないと、いつまでも眠れなくなる。おいで、おいで、なあ、来てくれ、励ましてくれ。そう言うと、誰かに抱かれている気分になる。おれよりも大きな何かに包まれて、暖かくなれる。痛いのは怖いから、暗いのは、ううん、分からないけど、おれはどうしても何かに包まれたいと思う。情けないのかも、仕方がないと思う。ううん。

 うん、うん、うん、うん。わかった、わかった、わかった、ありがとうありがとう、好きだよ、大好きだよ、あい、あい、うん、あーい、おっけえ。わかった、わかった、怖い、わかった、ありがとう、ありがとうおれのわがままきいてくれて。ありがとう。そうだね、そうだ、おれは大丈夫、全然変じゃないよね、そうだ、わかってる。怖い。わかってる、ありがとう、家族だね、そうだよ、うん、うん。うん。

 違う。

 違う、ごめん、泣きそうだ。なあ、お前はなんて名前なのかな、おれが決めるのか、分からないなあ、好きな言葉が分からないや。お前は何て言うのかな、おれは変じゃない、やだなあああ、変であったらさ、どんなにどんなに、どんなに楽なもんか。涼しいよ、寒いよ、あったかい、あったかいよ、お前のおかげだ!ありがとう。冬になるとお前が恋しくなるな、冬はいいもんだよ。嫌なもんさ、こわい。そうだ明日は海に行こう。海に行こう、遠いところがいいな、綺麗なとこがいいや。川下へ、流るるままに!自転車で、遠くまで行こう。寒いな、初雪はいつになるのか、もう降ってもいい頃だ。寒いな。寒いや、嫌だな。ああ、うん、うおおおん、うん、うおん、うおん、おお、おおお、おお、おおお、おお。おお、ああ、ああ、あああ、いいね、いいや、ああそっかそっかあ、そっかあそっかあそっかあうんだいじょうぶかなうん、おっけえおっけえ

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