第10話 ナオトと龍斗


★ ナオトと龍斗




十二月の終わりに二丁目の

孝清がオーナーになった

クラブで始めてみんなに

龍斗を紹介した。

大成会も成長をして

本格的なイベントになった。


オーバーザレインボー。


僕らが築きあげたイベントだ。




ヨシキはちょいちょい

イベントに参加していたが、

文也は一回ユキと顔を出して

つまらないと言い、

それからは参加しなくなった。



当時、文也は僕の親友を悪くいった。


恥ずかしくないのかな。

馬鹿の集まりだよね。

あの子ブスだよね。


僕は文也がユキに合わせる為に

本音で言ってはないと思っていたが、

あまりにも言うようになったので、

僕の方からは誘わなくなった。

円滑にサロン営業をする為には

我慢していた。



ユキが居れば文也は幸せなんだと。




イベントは人数を増やし、

今では一般のお客様も入れ、

少し居場所が狭くなった。


古いメンバーは、

クラッシック組と命名され、

年寄り扱いされた。(笑)


その中に、ナオトも居た。


ジュンと孝清と靖浩は、

龍斗とハグをしながら酒を交わし

僕の何処に惚れたのか

いろいろと詮索し、龍斗に迫っていた。


向こうでナオトが

女の子達と楽しそうに

笑ってる姿を確認した。


ケジメだ。


僕は気を使って離れていただろう

ナオトのもとへ行き、

龍斗の手を引いて紹介した。



ナオト、僕の彼氏です、龍斗。


ナオトは龍斗にハグをした。


龍斗も最初からナオトに

なにかを感じたのか、

ナオちゃんよろしくお願いします。


と、グラスをカチンと音を出して

酒を交わした。


龍斗、ナオトは僕の元彼なんだよ。


龍斗はナオトに一礼した後、


じゃ、千尋君と喧嘩した時は

ナオちゃんに助けを求めます(笑)


ナオトは突然の同細胞の出現に

ニヤっと笑って、


龍斗君、千尋にムカついたら

飛び蹴りしていいからね、俺が許す!(笑)




この日、ナオトと龍斗に不思議な

絆が生まれたのを感じた。


二人は僕が思ってる以上に

僕なんか以上に

ずっと、ずっと、

大人だった。


素敵な同細胞を見つけ、

僕抜きでも一緒に出かける

兄弟のような二人になる。


ナオトと龍斗の絆の初日だった。

そこに僕を挟むジェラシーなど全くない

素敵なカルマが誕生した。




僕は戸惑いながらも、

心から嬉しく幸せだった。


ジュンがその光景を横で見ながら、

僕の背中をつねりながらニヤついていた。


照れながら、ジュンの肩に顔を埋めた。




その日からナオトと龍斗とジュンと

毎日のように会った。


自然と仕事が終わって、

バイトがない日は四人で集まり

高円寺の居酒屋で日が昇るまで、

語りあった。


その頃のナオトは、

彼氏と別れ高円寺のアパートで、

一人で暮らしていた。

ジュンも中野で一人暮らし。


僕はサービス業で土日も仕事だったから、

土日は僕抜きの三人で買い物行ったり、

我が家にてゲーム大会していたり、

帰って来るまで三人で楽しそうだった。

そんなみんなを見てるのが

僕の幸せでもあった。




多分、人生一番、

幸せだった時間だろう。


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