12.未希の妙案?








「ホントに、ああいう勘違い野郎共は論外っていうか。会話しているだけでも頭にくるし、同列に扱われるのも嫌なのよ」

「なるほど、たしかに……」



 話を聞いてみると、未希さんの主張は至極もっともだった。

 ボクはよく陰キャや陽キャと、勝手にグループを作って一緒くたにしていたが。自分と知紘が違うタイプであるように、未希さんと斉藤のような違いもあったのだ。

 というか、聞いていて思ったのは斉藤もどちらかといえば、コミュ障の類。

 自己中心的な考えで、相手を貶める面倒な奴だった。



「それでも、アンタはまだマシかもね。目を見て、挨拶はできるし」

「そう、ですかね……?」

「ま、知紘の想い人だから、っていう前提があるけど」

「ちょっと、未希ちゃん!?」



 肩を竦める未希さんに、珍しく顔を真っ赤にする知紘。

 そんな仲の良い姉妹のようなやり取りに、ボクは思わず笑ってしまった。



「……でも、問題はここからだね」



 しかし、すぐに気を引き締めたのは未希さん。

 それを聞いて、ボクたちも頷いた。彼女の言う通り、斉藤たちがこんな簡単に引き下がるとは思えない。だとすれば、なにか手を打つ必要があった。

 でも、そんな妙案が簡単に浮かぶわけが……。



「そうだ! 兄貴に協力してもらおう!」

「兄貴、って……八紘さん?」

「うん!」



 そう思っていると、元気よく案を出したのは知紘だった。

 出てきた名前はボクも知る人のもの。知紘の実の兄であり、野球部のキャプテンを務めている八紘さんだった。

 しかし、彼に協力を仰ぐとはどういう意味だろう。



「兄貴って、意外と人望があるんだよ。だから、兄貴が睨みを利かせたら、たっくんに手を出す奴はいなくなるんじゃない?」



 首を傾げていると、友人はそう言った。

 でもすぐに、未希さんが難しそうにこう答える。



「それは、どうだろうね。あのバカたちは、八紘一人が仲間になったくらいじゃ関係ないだろうね」

「たしかに、未希さんの言う通りだと思う」

「うむむぅ……」



 こちらも同意すると、知紘は頭を抱えてしまう。

 しかし、案自体は間違いではないはず。誰かしらを味方に、というのは当たらずとも遠からずだと思われた。

 そう思い、ボクは無意識にこう言葉を漏らす。




「もし、学校全体が味方になってくれたらな」――と。




 そうすれば、きっとイジメは解決する。

 イジメとは要するに『裏切り者を排除するという本能』だ、という話を聞いたことがあった。だから、学校全体が味方になれば立場は逆転するはず。

 しかしながら、そんな簡単に物事が動くはずが――。





「それだ!!」

「えっ?」





 ――と、思ったら。

 未希さんが、それだと言わんばかりに声を上げた。

 そしてボクを指さして、こう言うのだ。



「学校全体からの勘違い、一気に解消すれば良いんだよ!」






 ボクと知紘は訳が分からず、顔を見合わせる。

 そして、そんなボクたちに未希さんは耳打ちするのだった。





 その内容は、驚きしかないもので。

 上手くいくかは未知数としか、思えないものでもあった……。






 




――――

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