【4話 転がっているモノ】

 ユキの体を空から注がれる太陽の明るい光が包み込んでいく。そして、道路に足を踏み入れ、目を見開きながら顔をこわばらせるユキ。


(えっ、なにこれ!? 事故!? いや、事件!?)


 周囲には動かなくなったアンドロイドが何体も倒れている。更に、体液を周囲にこぼしながら怪我をしている人間の姿もあった。


 そして、ユキは顔を引きつらせながら周囲を見渡す。


(警察に知らせなきゃ! いや、流石にこんだけ大きな事なってたら、誰か通報してるかな? いやいや、もしオレが最初の目撃者だったらそれじゃダメだ!)


 左手首の腕時計を体の正面に移動させたら、そなわっているボタンをいじっていく。だけど、腕時計は沈黙を貫く。


(え、繋がらない!? 回線混雑してるだけ? それとも、オレの腕時計壊れてる?)


 うろたえながら再び周囲を見渡すユキ。


(うぅ、一体どうなってるの!?)


 ユキは顔をしかめながら頭を抱える。 


(これって、みんなのことオレが助けなきゃいけない感じだよね)


 続けて、ユキは一番近くに倒れている人間に恐る恐る近づいていく。


「あのー、おケガは大丈夫ですか?」


 倒れてる人間は無言を貫いた。


 ユキは硬い笑みを浮かべる。


(大丈夫だよね? 人間の体は丈夫にできてるんだし)


 ゆっくりと身をかがめるユキ。


「警察を呼ぼうとしたんですけど繋がらなくって。あっ、救急に連絡とってなかった」


 ユキは倒れてる相手に引きつった顔を向けながら腕時計を触る。だけど、反応が無かった。


「あれー、救急もダメだ」


 眉尻を下げながら頭を掻くユキ。


(この人、一言もしゃべらないな)


 そして、ユキは無表情のまま、倒れてる人間の首にゆっくり片手を伸ばしていく。


(まさか、ね)


 相手の肌に手を当てるユキ。それから、ユキは目を見開きながら飛び退いて、尻を地面に打ち付けた。


(冷たいし脈もない!? えっ、えぇっ!?)


 周囲を見渡して、他の倒れている人間に視線を移していく。


(まさか、みんな!? 噓でしょ!?)


 その場に立ち上がり、他の倒れている人間に駆け寄る。続けて、相手の首に手を添えていく。


(そんな、なんで!? 一体何が起こっているの!?)


 ユキは目を見開きながらうろたえ、再び周囲を見渡していった。

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