第2話 幽霊ミーツ幽霊

「絶対だ、俺と同じ境遇のやつは絶対いる」


誰に聞かせるでもなくそう口にした若者は、とにかく人気ひとけのある方へと歩を進めた。

彼の思考は単純であった。人が多ければそれだけ幽霊も多いだろう…と。

そんな彼がたどり着いたのはとある商店街。


「…ダメだなぁ。どいつもこいつも生きてやがる…」


商店街には生身の人間がたくさんいる。人が死んだという情報が仮にあれば、あっという間に噂になってしまうであろう。


「…あ〜 なんで俺気づかなかったんだろ。生きてるやつには聞こえないんだし、直接呼びかければいいのか」

彼は両手を口元に当て、そして…




「この中に〜!幽霊さんは〜!いらっしゃいますか〜!」




生きていれば商店街中に響き渡っていたであろう大声。しかし応答がない。

「…もう一回いっとくか………あの〜!」

「…〜い!」


「あれ…?」

「お〜い!こっちだ〜!幽霊ならここにいるぞ〜!」

若者が目をこらすと、商店街の奥の方…

人の姿がまばらな、寂しい場所。


その姿を確認した若者は、そちらの方へと歩いていった。


「…えっと、こんにちは」

「ああ、はじめまして。ここが俺たちの拠点だ」

そう言うと彼は、とある店の、店だった建物の入口の前に立った。


(拠点ってなんだろ…てかさっき、俺「たち」つった?)


「みんな。ニューフェイスがきたぞ」

中に入ると、そこには若者の「仲間」が何人かいるようだった。

「へ〜 新人さん。いらっしゃい。ようこそ私たちの店に」

40代ほどの女が若者に声をかける。

「おいおい、私たちって、あんたの店じゃないだろ。俺の店なんだからな?」

「俺の店って言ったって、それはもう昔の話じゃない。人気はあったみたいだけど…」

カウンター席に腰かける女と、おそらくこの店の主人。

「あの。このバーって、あなたが経営してたんですか?」


「ああ。まぁ…見ての通り店は畳んでるんだけどな?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

我ら成仏絶対反対派 サムライ・ビジョン @Samurai_Vision

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ