通り雨

ハナミ

第1話えっ、マジで

貴方との出会いは中学1年

特別キラキラの王子様とかじゃなくて

話したことも

興味も無くて

普通って言うか、努力もしたけど無事に高校合格

彼と同じ高校で

イメージとしては

元気で、お日様みたいな人

何気に優しい

私にはではなく

友達に

私達の年齢って、彼氏出来たとか

そのコスメ何?

とか、わいわいキラキラしている。

私は恋愛に疎くて

今まで恋愛したことも無くて、男子も女子も友達で

私はショートヘアーで軽く染めている

瞳の色に合わせて

黒髪が似合わないから

恋愛の話を聞きながら、どんどん綺麗になる友達を見て凄いなって

本当に思う

私も恋に落ちてみたい

なんか、漠然とした憧れ

私の趣味はお昼寝

猫と遊ぶこと

犬の散歩の帰りにコロッケを食べること

これは、自分へのご褒美

あとは携帯小説を読むこと

親はのんびり

平和

机に座り、窓際から空を見る

綺麗な蒼だなって

お昼ご飯は、女子だからめちゃくちゃ小さいイメージあるかもだけど、私のグループは、普通に食べる

「ねぇ、好きってどんな感じ?」

彼氏のいる子に聞いて見ると

「ジェットコースターみたいな感じ。優しくされると天にも登る気持ちで上がっていくけど、喧嘩すると真っ逆さまだよ。でもね、幸せなんだよね」

いいなーって思った。

私も恋に落ちてみたいな。

どんな人だろう?

趣味が合う人が良くて、大きな手が理想。

恋バナと、今度食べにいくインスタバエする食べ放題のスイーツ専門店の約束をして帰る。

たまには、近代文学読みたいな。

美しい日本語が読みたいなら、三島由紀夫氏だよね。

図書館に行く途中に、急に雷が鳴ったと思ったらスコールのような雨。屋根を目掛けて行くと、貴方がいた。手なんか血まみれで、猫は怒っていて。

よく見たらお腹も大きくて、妊婦の猫だ!

貴方は腕も肩も血まみれでも、絶対に離さないでブレザーに包み、鞄を置いて行くから私は慌てて後を追いかける。紫色に変わった傷口も気にしないで、大切に猫を守る姿。まだ、降り止まない雨。

私はトコトコついて行く。

雨が降るたびに、母猫を守る姿に雨が甘い蜜のように私の細胞レベルで恋に落としていく。

会話もない。

大きな手が、爪にも歯型がついていて。

訳もなく、この母猫は大丈夫。

羨ましいって一瞬思った。

ああ

これが恋か

私の初恋は

甘くもなく

漫画のような設定はないけど

優しく

動物を慈しみ

血まみれになっても

母猫親子を守り

命の大切さを私に教えてくれた人

恋なのか

最上級の

愛なのか

訳も分からない衝動

傍にいたい

喋りたい

いつもは、おしゃべりなのに

セミロングまで長さがあったら、可愛かったかな?

ショートヘアーも好きだけど

大きな手

大きな体

大好き

どんな人なのか、分からない

細胞がね

上から目線で

好きだって言っている

彼の家の前について

「えっ?」

低めの声が驚いたように

「鞄忘れていたから」

吐きそうなくらい緊張して

「ちょっと待ってろ」

彼は母猫を丁寧に扱いながらも、2階にあがっていく。わたしは、自分がびしょびしょで、クッキリと下着が見えているのも気が付かないで。

お別れに泣きそうになって

いつ好きになったの?

って考えても分からなくて

細胞がとしか。

最上級の愛かな?

叶うかな?

泣きそ

迷惑だったかな?

ストーカーだったかな?

彼は水色のトレナーを持ってきて、バスタオルも。

上だけ着替えたらと?

少しね

変態だけどね、

トレナー

柔軟剤のいい香りがした

「ありがとうございます、その傷口ね外科に行ってね。母猫は、すぐにでも乾かして病院に連れて行ってね。母猫は、私が乾かすから傷口を水で10分は洗い流して。」

良かったら、まだトレーナーに着替えてない状態で、私の猫と、犬が行ってる病院の診察券を渡した。

彼は少し恥ずかしいそうに。

「早く着替えて、病院はここに行ってみるよ。」

そこで、自分の姿を思い出して急いで水色の服を着る。彼に包まれているみたいで、至福。

バスルームから出て、パンパンに腫れた手をした彼とバトンタッチして、猫に噛まれながら乾かしていく。

これだけ噛まれたら、膿だしと点滴だね。

ふかふかになった黒猫は、何も悪くない。

お母さんだもん。

私達は、意地悪な巨人だよね。

これが私の生涯で1度だけの恋

大恋愛

かな?

内容は恥ずかしくて

ただね

彼は

私の事をママとか呼んだりしなかった。

子供が産まれても、低めの甘い声で

「琴ありがとう」

小さな事でも感謝を忘れない人

「護さん、ありがとう大好き」

彼が天に召される瞬間に出た言葉はそれだけ

恋物語はね

2人の秘密

異性としても

人間としても

大好きだった

護さんは、88で天に召された。

浮気しちゃ嫌よと何度も言った。

細胞が恋に落ちて

脳が恋に落ちて

心が恋に落ちて


一つだけ報告

結婚したのは、猫カフェで指輪はキャッアイの指輪で

大学を卒業して、就職が決まった日にして貰った。

ドラマのような、恋はないけど

いい男だった


後は私の大切な思い出のアルバムにて、内緒

幸せでした

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通り雨 ハナミ @muneta

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