第14話 私、いまショーツを脱げない病気にかかっているの

第14話 私、いまショーツを脱げない病気にかかっているの



俺が一人だけで店番をしているワンオペの時間に、一人の女性がやってきた。

金髪でカーリーヘア、ド派手なメイクをして、胸元は大きく開いたブラウス。革のミニスカートに網タイツ、そしてピンヒールを履いている。スタイルはぽんきゅっぽんという、素晴らしいプロポーションだ。


彼女が店に入ってきただけで香水の香りが漂い、俺はどぎまぎした。

彼女はカウンターにやってきた。


下から上目遣いになっているが、胸の谷間が俺の真正面に来ている。俺は彼女の顔ではなく、胸の谷間に目が釘付けになってしまった。


その視線に気づいているであろう彼女は、さらに両手を前に出して胸を挟み、より谷間を強調してきた。


俺はドキドキした。だって男の子だもん。

彼女は俺に聞いて


「下着が濡れちゃったんだけど、替えのショーツはあるかしら?」


俺はドキーンとした。何で濡れたのか?まさか…


俺はあわあわしながら答えた。

「あの列にあります。」そういって指さす。



「見つからないのよ。探すのを手伝ってくださる?」

彼女はウィンクした。


どぎまぎしなら、カウンターを出て彼女を案内する。


「これしかありません。」俺は言う。

女性用のショーツは2種類しかない。どちらもフリーサイズだ。」


「あら、どう違うの?」彼女が聞いてきた。

俺にはわかるはずがない。


「ごめんなさい。この商品のことはあまりわかりません。」

俺は正直に答える。


「中身を出していいかしら?」一つは箱に入っているだけで、もう一つは袋に入っているので破らないと見られない。


「こちらはいいですが、こちらの袋に入っているのは無理ですね。」


俺は答えた。袋を破るわけにはいかない。


「あらそうなの。じゃあ、こちらを見たいので、出して頂戴。」

うーん。

これは微妙な問題だ。だが、店員としては、客が勝手に出すよりは、店員が出すほうがいい。


俺は仕方なく、箱からショーツを出し、彼女に渡した。

「ああ、こんなのね。ねえ、これ、私に似合うかしら?」


彼女はスカートの上からショーツを当てて、俺に聞く。


「…わかりません。」俺は無難に答える。

まさか、セクシーでお似合いです、なんて言えないよな。


「あら、野暮ねえ。じゃあ、これ買ったら、あなたが履かせてくださる?」


…それは無理だ。

俺は想像するだけで鼻血が出そうになった。


俺はぶるぶる震えながら、首を横fに振った。

「あら、冷たいのね。私、いまショーツを脱げない病気にかかっているの。だから、あなたに手伝ってもらわないと困るのよ。」彼女はそう言って、俺にウィンクした。


…病気なら仕方ないな。じゃあ俺が…いやいや。


「すみません、無理です。」俺はそういって首を横に振る。


「野暮ねエ。まあいいわ。これ、頂戴。すぐ履くから、このままでいいわ。」

俺はうなずいて、ショーツと箱を持ってレジに行った。


お金を支払ったところで彼女が聞いた。

「ここで着替えていいかしら?あなたしか居ないから、いいわよね。」



いいわけないだろう。

「すみません、あそこのトイレでお願いします。」」

俺はトイレを揖斐刺す。


彼女はおとなしくトイレに行った。


俺はちょっとホッとした。いったいこの人は何なのだろう。


彼女は少しして戻ってきた。

「ねえ、愛田さん。」彼女は俺に声をかけてきた。


俺の名札を読んだのだろう。


「は、はい。何でしょう。」俺はおどおどしながら答えた。


「これ、あ・げ・る。」

彼女はそう言って、俺の手に何かを掴ませた。

見ると、真っ赤でセクシーなショーツだ。

しかもまだ暖かい。


俺はその場で固まった。


彼女は固まっている俺の横に立ち、豊満な胸を押し付けると、頬にキスしてきた。


「またね~」彼女はそう言って、店を出ていった。


今のは夢だっただのだろうか?だが、俺の右手にはあったかいショーツが握られたままだ。

俺は、急いでショーツをポケットにしまい、バックヤードに顔を洗いに行った。


鏡を見ると、赤紫の口紅がべったりとついていた。こんな状況で帰ったら、美似に何を言われるかわからない。とりあえず顔を洗えたことで俺は安心した。



店長が来て、俺は廃棄弁当を持って家に帰った。


部屋に入った瞬間、美似が顔をしかめた。


「いっちー、どこの女と浮気したの!」


浮気も何も、俺、奥さんも彼女もいないんだけど。

「何だよ、それ。浮気って言われててもなあ。」


「何言ってるのよ。私たち魔法少女は、基本的には処女なのよ。そんな私たちとお友達をやっているあんたが、熟女の色香におぼれたら、それはもう浮気よ!」


何だか、わかったようなわからないような。


「ところで、何で熟女に迫られたと思ったの?」俺は不思議に思って聞いてみる。


「何いってるの。すごい香水の匂いよ。若い子が使うようなさわやかなものじゃなくて、性感を刺激するような攻撃的なものよ。そんなの、おっぱいの大きな熟女に決まってるじゃないの!」


そうか…香水か。口紅のキスマークは消したけど、


「そうだったのか。まあ、なぜか迫られたけど、俺は何もしてないから。」俺は言い訳した。


「どうせ、迫られて鼻の下伸ばしてたんでしょ!」美似が責める。


まあ、その通りなんだよなあ…

顔が熱くなって、汗が出てきた。


俺はポケットからハンカチを出し、汗を拭こうとして…


俺の手には、真っ赤なセクシーショーツが握られていた。


俺はびっくりして、うわあ!と声を上げてショーツを投げ捨てた。


ショーツはそのまま、猫のアルケゴスの顔にかかった。


「うぎゃー!」アルケゴスは怒ってうなった。


そりゃそうだ。雌猫が女性のパンツをかぶっても嬉しくもなんともないだろう。


「あれ、何か書いてある。」アルケゴスが気づいた。


「えーと、へ、れ、に、あ  これ、ヘレニアにパンツね。」

アルケゴスが言う。


美似の顔が曇る。

「これは…宣戦布告ね。いっちーと私たちの愛の時間を邪魔してやろう、ってひどいわね。」


どこが愛なんだかわからないが。



「あれ~、どうしたの~」能天気な声が聞こえた。

まさかだ。どうやらシャワーを浴びていたらしい。タオルで髪の毛を拭いていて、全身から湯気が出ている。


「いっちーたらね。あのパンツを持ってきたのよ。」アルケゴスが変な説明をする。


「え~やっぱり、愛田さん、ぱんつ好きなの?いま着替えたばっかりだから、あげようか」


話がややこしくなるから、勘弁してほしい。


「遠慮しとくよ。気持ちだけで十分だ。」俺はまさかに言う。


「じゃあ、匂いだけでもかいどく?」

それはちょっとだけ魅力的だが、俺としては断らざるをえない。美似がジト目で見ているからだ。


俺は涙を飲んで首を横に振る。


「ヘレニアのパンツは私がもって帰るわ。あとで赤身レアに焼いてもらうわ。」

美似が言った。


まあその辺は任せよう。巫女服を来た赤身レアの顔が目に浮かぶ。


「でも、このパンツ燃やした火で肉を焼いても、臭くて食べられないわね。」

美似が笑った。


うーん、そこ笑うとこ?


「ちなみに、ヘレニアって誰?」俺は聞いてみる。


「敵よ。」美似が簡単に子て得る。


「もうちょっと言うと、彼女は対魔法少女・侵略者/悪の組織連合の副会長ね。」

なるほど。向こうの組織の美似やナミさんみたいな役割か。


「組織の運営から現場の悪事まで何てもこなす奴よ。とっても手ごわいの。」

金髪をなびかせながら美似が言う。


…てことは、今後俺は悪の組織に狙われるわけ?


…勘弁してくれよ。いくら魔法少女に守られるといっても、命がいくつあっても足らなくなるだろうに。





あけましておめでとうございます。

本年も宜しくお願いします。

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