第13話「自己紹介の鍵2」
シリアはとても12歳とは思えないほどに礼儀正しい子だと思った。確かに12歳ぐらいなら礼儀正しい子もいるが、初めてあった誰かも知らない男に対して、ここまで出来ないだろうと俺は関心していた。
「妹は無事ですか?」
シリアは妹の心配をしていた。自分よりも妹の事を心配できるなんて、いいお姉ちゃんじゃないかと俺はますますシリアに関心した。
「妹なら無事だよ。ほら、横でスヤスヤ寝てるだろ。」
「本当だ...良かった」
シリアの目から涙がこぼれる。
「大丈夫か?」
「は..はい...妹が無事で良かったって...安心...しただけですので...大丈夫ですっ」
シリアの目からは大粒の涙が溢れ出して止まらなかったが、その顔はとても安心していて、心から嬉しさが溢れていた。
「とりあえず、落ち着くまで待ってるから、好きなだけ気持ちを整えてくれ。」
こういう時にどうすればいいか分からない俺は、とりあえず思いっきり感情を出させてあげるようにした。その方がスッキリするかと思ったからだ。
「んにゅぅ...お姉ちゃんうるさいよ」
そうこうしている間に、妹の方も起きてきた
「あ、ごめんね。まだ眠たかったら寝てていいよ。あの、妹をもう少し寝させてあげてもいいですか?」
「もちろんいいよ」
態々、こっちに気を使ってしっかり聞いてくれるんだぞ。こんないい子にダメなんてとても言えるわけがないだろ。
「大...丈夫...起きる」
姉からの配慮をよそに、妹の方はまだ眠たそうな目をこすりながら起きてくる。
「あ、紹介しますね。この子は私の妹のアルシャ·コライスといいます。ほらアルシャ、お兄さんに自己紹介して」
シリアはそう言って、妹のアルシャちゃんに自己紹介をさせる。
「は...初めまして...お兄..ちゃん、ア...アルシャは、アルシャ·コライスっていいます。8歳です。仲良く...してください」
アルシャちゃんは恥ずかしそうに照れながら、しっかりと自己紹介をしてくれた。
「うん、仲良くしようね、アルシャちゃん。お兄ちゃんの名前は無神 心って言うんだ。心お兄ちゃんって呼んでくれたらいいよ」
「うん...ココロお兄ちゃん」
アルシャちゃんは照れながらも、しっかりと俺にそう返事を返してくれた。
さて、自己紹介を終えた所で、俺は次にこの子達にこの家で一緒に住むことになる経緯を伝えるのと、何故あの森で黒ずくめの奴らから逃げていたのかの理由を聞かなくてはいけないと思い、話を切り出すのだった。
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