第9話「助ける意思の鍵」

俺は、この少女を助けるべきなのだろうか、はっきりいって、今俺がこの2人を助ける義理は全くない。でも、助けずに死んでしまったら、俺は見殺しにした事に着いて初めて責任というものを感じるかもしれない。人間には過ちや後悔が付き物だ。だが今ここで助けないと自分の意思で行動したことに後悔はあるだろうが、過ち等とは冗談でも言える訳がない。少女達が来た方向からは何人かの足音が聞こえてくる。多分、この場合では追っ手だろう。それとも、この少女達の親や仲間が向かってきているのだろうか、その答えは勿論前者だった。黒ずくめの男の1人が仲間に知らせる。「ここにいたぞー!さっさと捕まえるんだ!!」少女2人は、俺にさっき助けを求めて力尽きたのだろう。倒れ込んでいる。

俺に助けを求めて自分の力を全て使い切ってしまった女の子を、見捨てて行くなんてことは、俺には出来ない!!そう思ったとき、アビリティが開放されたのだ。「アビリティ、「感情(防衛本能)」を獲得しました。」

俺は、この2人を絶対に守る。まだ生きられる可能性のある少女2人を見殺しになんか絶対しない。そして、俺は黒ずくめの男に向かって叫んだ。

「おい、お前ら!この子達は俺が引き取る、悪いことは言わないからさっさと失せろ。」

反応は勿論反対意見だろう。知らない奴がいきなりこんな事を言ってきたら誰だってそうだろう。

「貴様は一体誰だ!そのガキは我々の商品だ!痛い目を見るのは貴様の方だぞ。さっさと、その商品を返せ!」

「商品...商品だと...この子達はな...お前らの商品なんかじゃない...自分の力で動いて、意志を伝える人間だ!!お前たちになんか絶対に返さない。俺がこの子達を守ってやる!!」

「何が守るだ、正義の味方気取りが!お前など我々の足元にも及ばんわ!殺れ!!」

黒ずくめの男たちは50人くらいだが、レベルは30程度だ。今の俺は「感情」のアビリティ、(状況打破)と(防衛本能)の2つが発動していることにより、攻撃力356、防御力470、スピード420という、脅威のステータスになっているのだ。さらに、レベルが上がったことにより手に入れた新たなスキル「標的操作ロックオン」が使えるようになっていたのだ。俺は早速スキルを使う。

「「標的操作」!!」

そして俺は、範囲内にいる黒ずくめの男たちを全員選択し、いつものアレを唱える。

「「解錠」!!」

「標的操作」と組み合わせることによって、「解錠」するために必要な相手に触れるという行為を行わずに分解出来るようになったのは大きな進歩だろう。

だがこの組み合わせは、自分よりレベルの高いやつや、自分よりレベルが50以上低くないと使えないので、今回はラッキーだったとしか言いようがない。

そして、黒ずくめの男たちを全員細胞レベルにまで分解した俺は、倒れている少女2人を持ち上げて町の方へと全速力で向かう。


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