第22話 閑話休題


 ここで、俺の妹が持つ超絶コミュ能力の一部を紹介しよう。


 といってもまあ、なんの事はない、今、学食にいるのだが俺の後ろで妹の話をしている3人女子がいる。


 俺はその3人にバレない様にそっと聞き耳を立てた。


「ああ、今日もしおりんとお昼出来なかった」

「まあ、早い者勝ちだからねえ」

「たまには別クラスの私達に栞を譲って欲しい……」

 3人は定食、ラーメン、カレーと別々な物を頼み、カフェ宜しくだらだらと食べながら栞の話をしていた。


「たーーまーーにーーはーー栞と喋りたい~~」

「そんなん皆そうなんだから仕方ない」

「流行りに遅れちゃうよ」

「この辺りの流行って栞が決めてる様なものだからねえ」

「だって、だってファッションとかって栞が言う通りに世の中が動いていくじゃん?」

「ああ、そうそう、しおりんファッションでニットのロングが流行るって回ってきたその翌週の雑誌にそのまま載ってたもんね」


 しおりんファッション……どうやら栞のグループメッセでそんなのがあるらしい……。


「この間しおりんファッションから回ってきたのはブーツとルーズソックスだって」

「うっそ、ブーツは良いとして、ルーズソックスってママの時代の遺物でしょ?」

「あんたママって、まあそうだよねえ」

「ねえねえ見て」

 一人の女子がスマホを二人に見せている。


「うわ、マジで?」

「昨日テレビで放送してたって……今ルーズソックスが再燃って」

「うわあ、またかああ、マジすげえ」


 マジすげえ……。


「しかもさあ、栞に悩み聞いて貰えば殆んどの事が解決するって」

「あーーそれね、マジで凄いんだよ、クラスでいじめっぽい事されている子とかいると、栞が裏から一瞬で解決しちゃうんだよ」

「裏からって?」

「直接当事者にはわからない様に解決しちゃうって事らしい」

「え? それってどういう事?」

「例えばさ、いじめている子に何か不満とか悩みがあったりするじゃん? その捌け口で身近にいるおとなしい子にちょっかい出したりするとしてね、栞はその原因の方を排除するって感じ。つまりこの場合、いじめてる子の不満や悩みの方を解決しちゃうって事」

「マジで?」

「うんうん、例えば他の原因で、まあ親に問題があるとするじゃん? 親が会社で大変な目にあってて家庭内がギスギスしてたりね、そしたら栞はその親の会社とか、その親の上司とかそういう所にまで手を回して解決しちゃうんだって」


「「うっそだああ」」

 うっそだああああ……いや、でも妹なら……。


「まあ、都市伝説だよねえ、でもとにかく栞にそう言った話が行くと殆んどが解決しちゃうって、まるで妖怪ポ○トだよね」


「そう言えば恋愛相談とかも凄いって言ってたよね」


「ああ、私中学の時聞いて貰ったーー、その人サッカー部のキャプテンで付き合おうみたいな事言われてね、栞に相談したの、そしてら速効で止めた方がいいって」


「え? なんで?」


「モテる人の曖昧な告白は他に相手がいるのの逃げ道だって、したら本当に二股かけようとしてたのそいつ」


「へえーー凄い!」


「ああ、知り合いさあ、合コンの帰りにいきなりキスして来た奴がいて、イケメンで優しそうだから付き合おうかなって、で、それを栞に言ったら、そんな事生きないしてくるなんて相手の事を思わないバカだから付き合うなって、でも栞より男を信じるってその子付き合ったんだけど、直ぐに捨てられたって……」


 へえ……でも大抵知り合いって自分の事だよなあ……。



「……ってことはさあ栞って経験豊富なの?」

 黙って聞いていた俺の心に何か尖った物が突き刺さる。

 いや、栞はずっと俺の事を……でも、忘れようって思ったとか言ってたし……。


「どうだろう? 誰かと付き合ってるって噂は聞いた事無いけど」

「栞に関して曖昧な情報は流れないからねえ」


 そう……噂話は時として悪口になる。


「あ、でも中学の時なんか他のクラスをちょくちょく覗いていたなあ」

「マジでマジで?」

「うん、なんかぽーっと恋する乙女の様な顔で覗いてたなあ」


「そういえば、この間、朝栞にあったら、そんな顔で歩いてたよ!」


「朝?」

「朝と言えば、栞、お兄さんといつも一緒にいるって情報が」

「え?! しおりんにお兄さんいるの? 格好いい!?」

「いや、普通だって」

「栞のお兄さんなのに普通って、可哀想」 


 ほっとけや……。


「あの子がどんな人を好きになるかスッゴい興味ある」

「ウンウン、多分物凄くいい人なんだろうなあ」

「顔では選らば無いよね?」

「「「あはははははは」」」

 うるせえよ……どうせ選ばれてねえよ……。

 そろそろいたたまれなくなってきた、そもそも俺が栞の兄貴だってバレたらヤバい。

 でも日頃の影の薄さのせいか、栞があまりにも眩しく俺が日陰になっているせいなのか、こんな時気付かれる事は少ない。


「ねえねえ、でもさ……ひょっとしたらなんだけど、栞のお兄さんだから多分だけど凄くいい人じゃん?」

「うん、それで?」

「ああ、私もちょっと思った……」

「え? どういう事?」

「栞ってさあ、お兄さんの事が好きなんじゃない?」


 え? ヤバい!?


「ブラコンって事?」

「うん、そう、だから誰とも付き合わないとか?」

「もしくはお兄さんがシスコンで気を使って付き合わないとか?」

「「ああーーあるかも」」


 ねえよ! いや……ちょっとは……いやいやねえよ!

 俺はこれ以上まずいと、3人にバレない様にそっと席を立った。


 まあ、こういった事は今に始まった話ではないので慣れている。


 それにしても、今まで栞の悪口を聞いた事は一度として無い。


 高校に入っても変わらず健在の超絶コミュニケーション力、改めて栞の能力の恐ろしさを俺はこうして知る事になった



 


【あとがき】

 カクヨムコンはほぼ諦めた。ー( ´-`)

 とりあえずここは10万文字で終了予定です。

 続きは、妹に突然を読んでくだせい……(O゚皿゚O)ツナガルノカ?


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 新作短編

『恋人マッチングシステムを使ったら、お相手に妹が選ばれてしまった。』

 https://kakuyomu.jp/works/16816700429452269366

 こちらも合わせて宜しくお願い致します。

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