Take50 僕らの朝は?

「陸、起きて」

(んー、朝か)

ぼやけた視界

明けた世界


(あれ?この展開)

「お前なっ!」

微量の重なり

「元気になったんでしょ?」

だからなんだ?


ぐっと押し倒されて

また

力が抜ける抵抗できない

「なにするんだよっ」


ようやく起き上がって

て言うか蹴り倒したんだけど

蒼温は笑って

「元気で何より」


温度を上げた毛細血管が

震えて

昨日誓った事柄が

音を立てて

崩れて


めまいの向こう側

蒼温が近くに寄ってきて

近い近い

「近いって」


「朝は5回は余裕かなぁ」


「は?」


「陸は考えなくていいよ」


「お前さ、散々考えろって……」


「うん、諦めた。だから考えなくていい」


「何だよ、訳わかんない」


「それでいいよ」


そう言うなり

本日3回目の……


「ちょっ!男同士だぞ?ばかなの?」


「好きなようにさせてよ」


「発情する対象間違ってるだろっ!」


「いやど真ん中だけど?」


(え?!)

(え??!!)

(考えるなっ俺っ!!!!!)


僕らの朝は

何かに背中を押されるように

答えを求めながら

揺らぎ進む



『0もしくは100の僕ら50に揺らぐ』完

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