Take49 新しい日常

彼女の事を気にしなくていい

と思ったら

急に元気になってしまった

わけじゃなく


親が離婚して再婚してって

どういう心境なんだよって

やっぱり声をかけづらい

蒼温の真剣なサーブを遠くから見る


僕は本当に勇気を出して

これでもかってくらい緊張して

「母さん、蒼温の親の離婚知ってたの?」

寝る前に聞いてみた


「知ってるわよ」

何でもない事みたいに返して来た

「言ってくれたっていいだろ?」

僕だけが知らなかったみたいで恥ずかしかった


母さんは僕の方を向いて

「自分から言うからってお願いされたら母さんその約束守るしかないでしょ」


不意に緑茶の香りがするようだった

楽しそうな二人

それだけじゃなかった二人

僕だけが子どもみたい


彼女騒動がなくても言うつもりだったのかな

バレなきゃいつまででも黙っておくつもりだったかも?


それは僕の都合か

蒼温には蒼温のタイミングがあったんだ

約束を反故にするやつじゃない

それを誰より

僕が知っている


明日からは

少しだけ大人になって

あいつと一緒に

学校へ行こう


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る