Take44 サイン

気がついたら朝


「起きた?」


蒼温がそばにいた

制服じゃない

蒼温の向こうには

お布団が見えるし

青のカバンもあった


「蒼温泊まったの?」


ぐらぐらな脳みそだけど

そのくらいの質問はできる


「だからなんだよ」

そう言いながら蒼温は

僕のおでこに手を当てる


「まだ熱っぽい。学校行く?」

蒼温の言葉に返す勇気がない

過ぎ去った空白は取り戻せるはずもなく

ここにあるのは現実だけ


蒼温は立って部屋を出て行った


すぐに母さんが来て

心配そうっていうか

呆れてるていうか

「今日は学校休みなさい」

って言って出て行った


僕がもやもやなっている一方で

蒼温は制服に着替えてる


「荷物もあるし、部活終わったら来る」

そう言って蒼温は海と一緒に家を出て行った


元気だけが取り柄だと思ってたのに

案外僕みたいなのでも

繊細にできてるんだ

なんて部屋でひざを抱えてうずくまった




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る