Take43 何もない

それは突然の出来事


玄関は出た

蒼温と歩いた

話した事は

なんだったのか


蒼温と別れた

教室に入った

何人かとぶつかって

よろけて椅子に座る


ごめんごめんって

何してんだよって

わりーわりーって

チャイムが鳴って


教室移動

昼休みのざわめき

午後の静けさ

部室までの道のり


卓球台は青春の爪痕を

体育館は若者の呼吸を

非常灯は成長の乾きを


まとって


誰に何を言われたわけでもないのに


背負って


後ろめたいだけの僕は

今日もやっぱり

一人で帰る事にした


なんでかな

何にもないって

僕の中の僕が言っている


それって何なの?って

聞くけど

何でもないって

僕の中の僕はどこかへ行った


なんだよ

ほんとにひとりじゃないか

次第に僕の胸の中に

暗闇が吹いて引きずりこまれる


意識が吸い取られて

僕は家の玄関で倒れた

ひとり未満になれたらいいのにって

思いながら


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