56 バール塔、最上階にて、エレーナ!!!。

「此れがあんたの故郷かや。なんと汚れた星かやば。」


 地球に未来などない。


 とっくの昔からだ。


 だから、別の世界が或るのだ。


 そして能力者がいるのだ。


 地球に住む愚かな人間どもから、己を守るために。


 一個人の人格を守るために、能力者は魔導を知る。


 かつて反転世界を創った神々は、己の住む惑星の滅びを只見ていた。


 愚かな事に戦争で滅びた。


 其れは、愚かな私欲を満たそうとする人間の軽率な行動により引き起こされたことだった。其れにより、彼等は目覚めた、魔導の力に。


 滅びゆく惑星をみる中で、世界システムの意志を聞き、自然との一体化に成功し、原初の神々で或る アルテー十二神が生まれたのだ。


 三人の脳内に流れ込んでくる、かつての世界の巨大戦争と、憎しみの歴史。

 塔の最上階には、悲しみと憎しみの女神エリーナが血の涙を流して待っていた。

 


 「さあ、あの日の約束どうり私を殺していきなさい。ただし勝てればの話だけれどね!!!。」

 

 

 天仙が降りてきた。天使が降りてきた。

 「貴方たちを連れていく為に、絶望の世界へ。」

 

 

 「消えろ。」

 

 

 エリーナの苦しみの殺意の眼。

 見られたものは、一瞬のうちに光に包まれ。消えて無くなる。魔導。

 「キョクマ。」

 

 

 三人は死んで居なくなった。

 

 

 「此処は何処だ???。」

 巨大な九尻尾と、九頭竜が居た。


 「此のままではやられると思い、具現化の門に呼び寄せた、我が名は九狐の妖狐 魔訶じゃ。そして我が九頭竜の大蛇 ジャーミィだ。」


 「画レ虚・・・。此れは一体???。」

 バルマがきいた。


 カローナは困惑していた。

 「分からない。死にそうになると時々助けてくれるんだ。時空を超えてね。」


 そんなバカな事があるのか・・・。


 「こっちに来なさい、其処の三人。今からとっておきの力を与える。かつての先代の妖魔師が使っていた、技じゃ。其の前に、影使いと魂攻撃、肉体錬成攻撃、精霊の力のいろはを叩きつけてやる。」


 かつての世界で行われていた儀式。しきたり。


 この世界を救った、七人の魔導士。受け継がれてきた、世界システムへの対抗策。其の因子。神々と裏で戦い、世界の秩序を維持してきた。


 マジック団


 其の、歴代の魔導士の継承してきた技の伝授。


 「マジック団 団長エレナの名により命ずる。 神代魔導に対抗する為に創られた魔導 滅魔導 破滅の魔弾丸 刃 焔 を与える。此れより具現化能力の連帯技、ウルトラキーを開口、其の力を存分に発揮せよ。」

 

 

 何だ此の力は・・・???。


 三人の体から、黒く赤い焔が出る。


 「其れが滅魔の焔だ。」


 影を伸ばして、敵の影に攻撃する。


 影使い。


 そして肉体への攻撃を与える。


 此の肉は実態の或る、本物、肉を捕まえて攻撃を当てる。


 精霊の加護により魔力を増大させ、魂への攻撃により、逃げ場を無くす。


 本の数秒の間に、超高速で、巧妙な駆け引きが行われている。


 影の中は自由に行き来出来る、影に入り込み、其処から攻撃、影の中で戦う事も或る。肉は自在に錬成し、治癒に役立つ。


 敵の肉を切る事も出来る。


 通常の人間の肉は切ってもすぐには再生しないが、肉錬成の出来る肉にダメージを与えるには、肉錬成による相殺が必要になる。精霊の加護により、魔力の量が格段に上がり、魂による攻撃で、物質世界の外側に魂が残り、其れが別の肉に映る事を防ぐ。


 此れが神との闘い。


 三人は如何にかしてエレーナに勝った。


 エレーナは、あらゆるものを消し去る能力と、精神を乗っ取る能力があった。

 画レ虚の分身と、バルマの超高速剣技の舞、カローナの温度調整による錯覚により、何とかエレーナを倒した。


 「やはり、私は此処で死ぬ運命なのですね。」


 「いいや。死なないさ。」


 「どうしてです?。」


 「殺す理由がないからさ。」


 「ああ、なるほど。あなた方はあの四人と同じですのね。まあ、いいですわ。私は全力では無かったですし、其れに・・・。合格ですしね。」


 エレーナの後ろをついていく。


 結ってあった髪を解くエレーナ。


 長いエメラルドグリーンの髪が風になびく。


 何処か懐かしい風景だ。


 「ほら、其処の池に飛び込んで!!!。」


 エレーナは言った。


 此処は何処だ。


 何処か懐かしい場所。此処は金山神社の・・・。


 裏にこんな池があったなんて知らなかった。綺麗な水だ。


 エレーナに押されて、三人は池に落ちた。


 沈んでいくと・・・。


 其処には、新鮮な何もない空間があった。


 「此処は・・・。」


 「精神を鎮める場所よ。」


 「窓を開けてみな。」


 其処に窓が現れた。 


 「此処はねえ、もう一つの地球の姿。いいや宇宙とでもいおうか。誰の手にも下っていない、新鮮な其の儘の宇宙の姿。死ぬ事も生きる事もない世界よ。」


 それじゃあ。 


 「此れはなんだ。」


 世界の禁忌に触れた者を鎮静する水と草よ。


 「もう時間だわ。残念今回は此処までみたいね・・・。」


 「此処へ来るには・・・。只金山神社に行けばいいって話では無いのよ。金山神社に裏何てないわ。此処は、あの神社自体が此処をモデルに創られた場所なのよ。」

 気づくと、バール塔の最上階に戻っていた。其処にエレーナの姿は無かった。

 

 

 

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🛫反転🧭旅記🛫 具現化能力者の画レ虚は、反転世界へ旅立ち、摩訶不思議学校の校長マクベスを倒し、ファルスの革命者として、原初の神を殺します。 無常アイ情 @sora671

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