54 キャーシが明かす、驚きの事実、ファルスは世界システムの事なのか!?

 寅次郎の奴を神の一人にして、マクベスと会合させたのはこの私だ。私は、神代の神々の中で、謀略の神と恐れられている。世界に混乱を齎すものなどともいわれている。


 喜界島 寅次郎に、唆した、あの日の事を思い出す。


 「御前は、此の、反転世界の古代文明に興味が或る。その謎が知りたいか???。其れなれば、其の能力を使って、次のファルスの革命者たる候補者を育成せよ。」


 そうして、彼奴は、よく役目を果たしてくれた。


 何万回、何兆回もの、時を来り返し、奇跡を起こす未来を創った。そして、菓子太郎が、能力に覚醒する未来を創った。其れが此の世界線だ。想定外の世代の能力者もいるようだが・・・。いずれにせよ、菓子太郎は次から次へと其の能力を開花させていく事だろう。


 「此れが神の、享楽。退屈な神の生活に、刺激を与えるもの。」


 しかし、寅次郎の奴が神になった事も、あのマクベスがファルスの革命者と言えども、所詮は未だ青臭い餓鬼に、期待し、未来を託すとは、驚いた。其のマクベスと、此奴たちが戦うように仕向けたのは、此の私なのだがな。フあははは。

 

 

 「ふううむ。美味しそうな子供達だ。」


 キャーシィ、は舌を出して、不気味に笑った。


 「食べ頃の子供だねえ。マクベスと闘って、強くなった子供達・・・。ウフフ。」

 

「何だ此奴。怪しい。」

 マーリルは、警戒していた。


 シヱは、キャーシィの身体から発せられている得体の知れない、死の殺意のオーラに臨戦態勢に入った。


 「なあに、そんなに怖がらなくても・・・。大丈夫だよ。」

 

「此奴は、ヤバイ。逃げろ!!!。お前等!!!」

 シヱは大声で叫んだ。


 「逃がさないよーん。せっかく捕まえた。玩具・・・。」


 部屋の強固な扉が閉まる。


 「物質を強固に硬化させる、僕のアルティメットデンシチーの効果で、創った此の部屋からは、出られないよ。ウフフ。」


 指パッチンの音が聞こえる。


 すると、一瞬にして、シヱが粉々になった。


 「特定の場所を指定して、指パッチンすると、其の場所の物質物体を分解し、破裂させる。デストルパッチン。 君達の大事な仲間が粉々に成っちゃったねええええ。」

 


 「グラビティ リカバリ。」


 シヱは、其の重力魔導によって、バラバラに成ろうとする肉体を何とか、とどめていた。


 「なるほど、貴様・・・。あの、シヱか。禁忌を犯して反転世界の外側へ行った、愚か者の一人。死んで無かったのかあああ。ははははは。」


 その、呪われた身体。重力能力者は、歳を取れないと言われている。


 重力魔導は、神の中でも珍しい、其れに、七色中じゃ最強だ。


しかし、其れは、神の前では無力。あらゆる攻撃は、神代魔導の前には、無効化され、跳ね返される。


 期待していたが、重力魔導と言えど、この程度か・・・。


 「焦土 メモリーガる。」

 マリーの歪曲魔導だ。物質を曲げ、変形させる高等魔導に温度魔導を融合した、オリジナル魔導。


 「身体が焼けてねじ切れそうだ。君の努力が伝わってくるよ・・・。だけど・・・。その程度・・・?。」

 こいつ等の頑張りは理解している、だが、まだまだ到底、神と契約を結んだ我々の力には及ばない。


 「残念だよ・・・。君たちなら、此の世界を変える革命者足りえる何かが或ると思っていたのだが・・・、とんだ検討違いだったのかな・・・。」

 キャーシは悲しそうに、笑った。


 其の隙に、菓子太郎は、灰色の魔導による、科学技術に対する扉を新技術の扉を開き革新を手繰り寄せる、運命操作魔導により、ガリアスを進化させ、ガリアスバージョン2を放った。


ガリアスから、無数の黒い手が伸びて、キャーシの身体を分解させる、あらゆる重力を無効化して、物質を引きはがし無に帰す。


 「まっ、まさか、其れは、古代魔導。如何して貴様が其れを・・・。まさか、自分の頭で考えて、其処に辿りついたというのか!!!。化け物め、此れはマクベスが認めたのも納得がいく。此奴は寅次郎以来の怪物だ。」


 だが・・・。


未だ、拙い。


此の魔導は、三億年程前に、重力を凝縮させて、黒色の塊を創り出す事に成功した、古代人が作り出した魔導。


そもそもが、神しか使えない神代魔法だ、其れを誰から教わる事も無く、自然と対話し、世界システムの流れに対する深い洞察のみで見つけ出し、其れをアレンジした手を作り出した此奴は、逸材だが、本来ならば、この程度で済まない、私は今頃、存在すら消えて永久になくなっていただろう、私に関するあらゆるものにさえ影響は及び二次被害さえ避けられないほどの、強大な魔導なのだ。完成にはまだまだ遠く及ばない。


 「人間ってのは、何億、何兆、何京年、努力したって、真実に辿り着けないことも或る。其の、魔導にたどり着くのに、六兆年の魂時間といった処か・・・。」

 キャーシは言った。


 「分からない。ずっと、見つめていた。声を聴いていた。導かれるように、見つけた。願いが通じると信じて、見つけた。其れが此の力。」

 菓子太郎は、精神年齢で言うと、化け物染みて居なければおかしいのだ、あれから、ずっと、暇があれば、スペースボールの中で、修行をしていた。


 そして、魂世界の加速化現象を発見し、其れにより、魂の部屋で数兆年の時を過ごしていた、誰にも内緒でずっとだ、その結果、神代魔導を独力で身に着けていた。


 「その才能は、父譲りか。血は争えないな。」


 確かに此奴は寅次郎を超える天才かも知れない。


 寅次郎・・・。


 確かに奴は、天才だ。


 菓子太郎に殺されたこの世界線ではない世界で、今も生き続け、其の時間加速の神としての役割を全うしている事だろう。


 世界線の守護者に人間から選出され神となった唯一の存在だ。


 「黒穴 召喚 ガリアスの悪魔。 ザヴァ。」

 キャーシは驚いた。


 此れは見たことがない、ガリアスの分解魔導から導きだされた特異点から出てくる此奴は何だ。黒い、イリスにも似た世界の禁忌を感じる此の、匂い、感覚。


 「其れは、暗黒魔導か・・・・???。神でさえ、使えるものは殆どいない、世界の禁忌の先に或る絶望と後悔の魔導・・・。その歳で・・・。神にさえなっていない人間の限界値で、其処へ到達するなど・・・。化け物か此奴。」


 ザヴァに近づいたものは、余談無く消える。


 其の発動者でさえ例外ではない。


 「マーリルさん、シヱ、マリー、逃げて!!!。消されるゾ。」

 その瞬間にして、その場から離脱した。


 数百メートル先から其の様子を、次元を超えた目、デメンションアイと言う魔導で確認する。


 真っ暗で、何も見えない。


 空間事、時間諸共分解され削り取られている。


 其処には、肉体がボロボロの、キャーシーがいた。


 なんて丈夫なやつなんだ。通常ならば、存在さえ消え去ってしまう程の攻撃。ザヴァは撃退されてさえいる。


 「あぶねえ、あぶねえ。一瞬とはいえ、此の俺を本気にさせるとは、大した奴だぜ。」


 「俺の出番かねえ。面倒くせええが。」

 目にも止まらぬ速さでキャーシの手元に移動するマーリル。


 あいさつ程度に、顔面にグーパンチを喰らわせる。


 あの、キャーシーがぶっ飛び、顔面から血が出て居る。

 「フーン、やっぱ、怪我はするんじゃん。御前。」


 この世界には四つの要素が或る。


 魂、肉体、影、精霊だ。


 魂に肉体が作用する事で生命に成る。


 フョームとは、其の四大要素に作用する気で、魔導を引き起こすエネルギーの源に成っている。


 基本魔導は、物理的ダメージを与える事しか出来ない、物理ダメージは此の四大要素のいずれでも無く、云わば、物理現象による、科学的現象、人間の五感で感知できる一般現象として、作用する。


 つまり、四大要素に作用した魔導は更に強力に成る。


 「ほう・・・。肉体攻撃とは・・・。其の波動何処で教わった・・・?。」


 「マクベスさんだよ。」


 「なるほど。マクベスの言っていたお気に入りとはお前の事だったのか。」


 凄まじい戦いだった。


 その戦いの結果。


 殆ど互角に見えるが・・・。


 「今回は此処までにしよう。急に戦いを仕掛けて悪かったよ。君たちの実力を確認する必要があったんだ・・・。」


 こいつらがファルスの革命者なのかは分からないが、其れに成れる可能性が或る事は十分に此れで分かった。


 「其れで、おめえらは何の用で此処に来たんだ???。」


 「此処は一体何の場所なんだ。」

 菓子太郎は、問う。


 「お前等は神って何だと思う???。」


 人間によって神の定義も変わってくる。


 何でも知っているのが神なのか。


 全知全能が神なのか。


 自然現象を引き起こすものが神なのか。


 自分より上のものが神なのか。


 「私達は神に分類されているが、実際は神が全てを知っている訳でも、無い。神にもランクが或る。何でも知っている神は世界に一人だけだ。其れがファルス、所謂世界システムって奴の事だなあ。お前等も知っているだろうが、人間の中にも能力者と非能力者がいる、更にそれらは修行や努力で実力を磨いていき、或る地点に到達する

と、各段に実力や能力が上がる事が或る。此れは進化と言う。此の進化現象は世界システムの一つだ。誰だって神に成れる可能性は或る、もともと神だった奴もいる、神に成る条件は、才能と能力が、神代魔導の其れの半分以上ならば、急に神に昇格し、神としての任務が与えられる。」


 ファルスは世界システムそのもので或る。


 世界には始まりも無ければ終わりも無い。


 其れが、何もない処からシステムだけが随時構築され最も最適な世界システムの作成のみが、試行され、創られていった。其処には時間や空間さえなかった、只、計算のみがあった。


 そうして出来た世界システムは、数学で表す事が出来る。世界システムを書き換える事も、創り変える事も出来ないが、其れを数学によって知る事は出来る。


 この世界が世界システムを基にして動き、成り立っているからだ。


 魔道や科学技術でさえも、此の世界システムを使って作られた文明だ。


 そして、神様さえも、一人を除いて、世界システムの中で其の文明、文化、技術、魔導が優れ、十分な実力が或るものが、世界から認められた場合、成ったという、ある種の資格や証明書の様な肩書なのだ。


 神と言う肩書に過ぎなかった。ファルスを除いては。


 ファルスは世界其の物なのだ。


 いわば、世界の全ての記憶と言えるだろう。


 世界システムがいわばファルスなのだ。


 世界システムに成ろうとして成れたものは此れ迄二人しかいない。


 そもそも初代のファルスと二代目の○○○を除いて類が無いのだ。この二人は、世界其の物と成り、世界の記憶を紡いでいる、其処に過去現在未来は無く、全てが繋がっている。


 「なるほどね。其れで、ファルスになった奴は何になるんだ。何でも手に入るのか???。」

 マリールは、尋ねた。

 

 「いいや。その逆さ。全てを失うんだ。」


 「全てを失う???。」


 「ああ、そうさ。ファルスになった者は、心を失うのさ。完全に成るんだからな、不完全な精神や魂、影、精霊、肉体から完全に離脱し、世界其の物に成る。つまり死ぬんだ。」


 「其れがファルスだと???」


 「ああ。分からんがな。神の間でも、ファルスになった人間の逸話しか残っていない。其の頃の事を知っているものは、ごく僅かだ。気の遠くなる程、遠い昔の話らしい。」


 「ファルスの革命とは何なのか??。」


 「其れは・・・。」


 「お前等が現れる事への予言さ。ファルスの予言書の事さ。予言書どうりにファルスは現れた作者は、未だ明らかに成っていない。予言書で其処に書かれて或る事どうりの事が起こるようになっている。」


 「変える事は出来ないの???。」


 「出来ない。事このファルスの予言書については、完全にその通りに成るように出来ている。其れをせざる終えない状況に世界が干渉してくる、そうして、予言どうりに儀式が行われる。其れがファルスの法則っていう奴らしい。」

 

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