トヨタ・シエンタ(初代)

 今はもう処分されてしまったけれど、実家の車がトヨタ・シエンタでした。結構この車には思い入れがあって、私はこの車で色んな事を学んだなぁと思います。小学生の頃に実家の車がこの車になって、それから10年以上この車が居てくれたのですから。思い出も含めて、私はこのクルマと共に成長させてもらいました。部活の送迎をしてもらったのも、どこかに出掛ける時も、ずっとこの車で。そして免許を取ってからも、初めて給油したり洗車機に入れたり、ウインカーの球切れでオートバックスに持って行ったり、バッテリー上がったり、1人でディーラーに行って年次点検してもらったり。初めて1人で乗り回したのもこのクルマでした。


 まず、この車のスペック(概要)について。このシエンタは初代、中期型のモデルでグレードはXリミテッド(特別仕様車)でした。


パワートレイン:1.5L、直4NA

馬力・トルク:110ps/6000rpm、14.4kg・m(141N・m)/4400rpm

駆動方式:FF

トランスミッション:CVT

サイズ・重量:4100× 1695× 1670mm、1210kg

最小回転半径:5.2m

燃費:18.6km/L(10・15モード)


 ではでは、運転してみて、この車について感じたことを。


 まず、この車の良いところは何と言っても運転のしやすさだと思います。ピラーが立っているので死角は結構少ないし、着座位置もそれなりに高いので見晴らしも良いですね。またライトが盛り上がったデザインになっているので鼻先がどこにあるのかが分かりやすく、リアも垂直にすとん、と落とされた形状なので車両感覚はこれ以上無い位に掴みやすい車だと思います。おまけに、7人乗りなのに短くて(何と日産ノートと同じくらい!)小回りが利くので、狭い駐車場でもあまり苦労せずに入れられるという。サイドも直線的なデザインなので、真っ直ぐ停めるのもラクでした。街乗りなら、恐らく最高に乗りやすい車じゃないかなぁ。


 運転フィールはというと、まあファミリーカーならこんなものなのかな、という印象でした。当時はほとんど他の車を知らなかった(今でもそんなに知らないけれど)というのも大きいと思いますが、運転していて不満に感じることはほぼありませんでした。重心は高めで、カーブとかの姿勢変化はやや大きいですが、ちゃんとカーブ手前で減速すれば問題無し。そもそも、この手の車に何を求めるんだ、って話だと思います。そして、パワー不足、トルク不足を感じる場面はたまにありました。登りとか高速の合流では結構アクセルを踏まないと進まない、でも踏めばちゃんと加速してくれる。やっぱり飛ばす車じゃないので、それで良いと思います。自動車評論家とか走り好きの方からすれば大いに不満のある走りだと思いますが、私はこの車はこれで十分かな、という印象です。踏めば1.5Lの1NZ-FEは結構素直に回転数が上がるし、運転していて不安になるような挙動とかを感じたことも特にありませんでした。ハンドリングも、自分としては狙った通りに曲がってくれるし思った通りコントロール出来るし、レスポンスの良さみたいなものは感じませんでしたが不満はありませんでした。そりゃ他を探せばこの車よりよく走る車種は幾らでもあるでしょうが、シエンタという車に求められる以上のものは持っていたと思います。強いて言うなら、横風で結構ハンドルを持って行かれるので、それだけは気を付けないとかな。ただ、これもミニバンやハイト系の車に共通することだと思いますが。


 シートはあまりホールド性に長けたものではなく、インパネ周りもプラスチックで安っぽさがあることは否めません。が、この車の価格を考えれば納得かな。シエンタという車は、「家族の足になる」車だと個人的には思うので、そこはあんまり求められる部分ではないのだと思います。シートアレンジはしやすかったし、室内高が高かったり窓が大きかったりするお陰で、2列目までは乗っていて窮屈感はありませんでした。3列目はまあ、「一応あるよ」程度のもので日常的に使うものではないと思います。でも、小学生の頃はこの3列目、何だか秘密基地感があって大好きでした、好んで3列目を立ててそこに座る位に。

 ドアの開口部も大きくて、子どもやお年寄りを乗せるのにはちょうど良いクルマだと思います。余談ですが、スライドドアはドアパンチをする心配が無いだけでなく、台風とか強風の時に持って行かれない安心感がもの凄く大きかったです。その分運転は気を付けなければなりませんが、沖縄とか風が強い地域ではスライドドアが重宝する機会って意外と多いのでは? と思います。


 やはりミニバンだけあって、ものを積むのは得意でした。2列目を思いっきり前に出せばママチャリだって積めなくはないし、釣りやシュノーケリングに行く時だって問題無し。低床設計だけあって、重いものの積み降ろしがしやすかったのは大いに助かりました(私はあまり腰がよろしくないので)。インパネ周りだとか2列目の足元だとか、結構小物入れが多かったのも使いやすくて良かったです。ただ、信号が見えるという配慮からだったらしいけれどサンバイザーに穴が空いていたのはちょっと眩しかったかな。メーター表示は基本的に見やすかったけれど、燃料計は針の方が個人的には好きかな。あと、水温計とかはありませんでした。

 実燃費は、街中(そこそこ交通量多い、よく走ってたのは那覇~北谷くらいまで)を走っていて13km/L、高速やスムーズに流れる幹線道路で14~15km/L前後といったところでしょうか。

 確か、10年以上乗っていて大きなトラブルは無かったはずです。ちょっと塗装が剥げたところがあったくらいで、エンジン周りやトランスミッション、足まわりに不具合は出ず。2~3度左側のパワースライドが異様に固くて開けにくくなって、ディーラーで調整してもらったくらい。あ、ウインカーとかストップランプの球切れはありましたが、まあそれは消耗品ですしね。


 走行性能自体は必要十分、運転はかなりしやすくて。家族の足として使うにはかなり良い車だったんじゃないかなぁ。大きなトラブルも無く走ってくれましたし、年式はちょっと古くはなりますが、(もちろん状態を見ながらにはなりますが)中古車でシエンタがあったなら、私は「良いクルマだと思うよ!」と自信を持って推せる車種です。私はこのクルマに思い入れがあるので、ネガティブな部分が美化されることで見えなくなっているのかもしれませんが。私にとっては、クルマや運転のイロハを教えてくれた、特別な一台でした。ありがとう、パールホワイトのシエンタ。

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