time 15.5

川に突き落とされた。


普段からコソコソ私への陰口言ってる奴らに。


偶然足で着地できた。膝と足首の真ん中位の深さだった。


水底は水草を覆うようにヘドロが溜まってたので泥が舞い上がって足首の先が見えなかった。


思った通り、甲高い嘲笑が上がった。

思った通りだ。


もう、終わりにしよう。

あんた達とは金輪際関わらない。


空を見上げた。

青く澄んだ空をずっと見ていたい。


「あはははは」

馬鹿みたいに笑いながら、私は後ろに倒れ込んだ。


肘を着いたので若干痛い。


私を超えて水は流れていく。全身が一瞬で濡れた。


「おかしいのは私よ!何あんたらが笑ってるの?」

頭だけ出して眼を見開いて口を引き攣らせてた。


「何見てんのよ!さっさと行きなさいよ。じゃないと、この後あんたらに順番に抱きついてやる予定なんだから!!」


あはははははは。

狂ったように笑ってがばっと上半身を起こし、両手をまっすぐ伸ばして掴む動作をしてみせた。


彼女らは悲鳴を上げて逃げていった。


残された私は、しばらく空を見ていた。



「なんで、川の中なん?」

ふらっと川岸に現れたショウは呆れ顔でため息をついた。


「落とされたのよ!可哀想と思いませんか?」

「でも、君自分でさらに浸かっとったやん。相手はキャー言うて逃げてったぞ。頭おかしい、信じられへんとか言いながら」

と浅い川岸から手を伸ばした。


夕凪は立ち上がった。少し離れたところに捨てられた鞄も拾い、彼の手を握って岸に上がった。くしゃみが出た。

「僕の部屋行く?久音居るけど」

「…久しぶりだね。古川さん家行くの」

久音のことはスルーした。

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