あとがき

 ここまでお付き合い頂きまして、本当にありがとうございます。

 あとがきなんて書くのは初めてですが、このお話を書くにあたっては色々とあったのと、もう少し説明が必要かもしれない、と思ったので書いてみます。


 まず最後のページを読まれた方は驚かれたかと思いますが、ボイドは死んでしまったわけではありません。この「ボイドの手帳」は拙作「眠る楽園の旅人たち」の前日譚に当たるものです。

「眠る楽園の旅人たち」はこちら↓

https://kakuyomu.jp/works/16816700426964274212

 

 ですので、ボイドはこの後も元気に活躍します。

 フランが言っていた「人を寄せ付けない妖精たちが住む森」が、「眠る楽園」でボイドが入り込んでしまった場所なのです。

 なのであちらの1話目を読んでいただくと、なぜこの手帳がずぶ濡れになったのか、お分かりいただけると思います。


 また最後の注釈で、この手帳は「過去の遺物」として扱われている、というどんでん返しのような内容になっていますが、それはこの作品の元となっている私が作ったファンタジーの世界観「イズワス世界」の今後に基づくものです。

(この世界観に関しては他サイトで公開中ですが、ネタバレもあるので伏せておきます)

 最後に出てくる「夜の陽・昼の月」という組織を作ったのは、拙作「失った夢よりも」の主人公二人です。こちらのお話も今後書いていきたいと思っています。

「失った夢よりも」はこちら↓

https://kakuyomu.jp/works/16816700429181272249


 何より創作の切っ掛けとなった「野蛮人ではない、一種族としてのオーク」であるオーク達は、書いていてとても楽しいので、今後もきっと書いていくことになると思います。

 現在短編賞で応募している作品の中にも出てくるので、もしお気に召しましたらこちらも読んでいいただけると嬉しいです。えっ、ただの宣伝じゃないかって? そうですよ!!

「ある竜の最後の子」

https://kakuyomu.jp/works/16816700429426647695


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 さて、ちょっと自作品の紹介のようになってしまいましたが、まずはこの作品を書く切っ掛けになったアドベントカレンダー企画、その主催者であるくれは様に感謝します。


 私は今まで1週間に1話を書くのがせいぜい、企画やネタを貰っても書ききれずに息切れして頓挫、という事を繰り返していました。

 ですがこの企画、どう頑張っても毎日地道に書かないといけません。初日がまだ11月だったのもあって、合計28日、つまり1か月もの間、毎日1話書く必要があります。


 でもこの企画、なんだかとても面白そう。そう言えば去年、必死こいて「稀人オーク」を書いていた時にやってた。あれは楽しそうだった……と、どうしても参加したくなり、それなら短い日記形式でやってみようと思い付きました。

 この時は忘れていたのです。そう、私は何度も日記にチャレンジしたことがあるけれど、必ず三日坊主だったという事を……!


 そんなわけで開始2日目、これは最終日までのプロットをきちんと立てないと必ず詰む、という事に気が付き、慌ててネタを絞り出してリストアップしました。

 今までは話の要所要所、必要なエピソードをまとめて、どうラストへ持って行くか、という非常に簡単なプロットしか立てた事がありませんでした。ですが今回は各話の文字数こそ短く、全体としての流れはあっても、全て違うネタで書くようなものです。


 これが非常に難航しました。10個くらいはすぐ出てきましたが、28個出せと言われたらもう無理。どうしろと!? と。

 しかしこの時ふと、せっかく主人公にボイドを選んだのだから、「眠る楽園」までの旅日記として書こう、と思い付きました。

 今作の最初は春ですが、「眠る楽園」のスタートは夏で、それまでにボイドは冬の寒さを経験している、という設定です。つまりこのお話の中で旅をしながら冬を経験させ、再び夏が来るという事にして、更に森に入った理由を作ればいいのです。

 これで一気にネタが埋まりました。フランという先生役もこの時爆誕。


 軽い気持ちで参加した企画でしたが、これらの経緯を経て、きちんと書ききれるものに仕上がりました。

 またあくまで日記だからと、6百字程度に極力収めるという縛りもつけたので、短い文章で読みやすい言葉選びをし、書き手の人格も感じさせる、という非常に良い訓練になりました。

 長いようで短かった1か月、本当に楽しかったですし、毎日頭を捻ってジタバタしましたが、実りの多いものとなりました。


 ここまで読んでくださった皆様、感想をくださった皆様も本当にありがとうございます。

 毎日書き続けるという初の試みで、たまに「今日はもうダメだ」と挫けそうな気分にもなりましたが、毎日感想が届くというありがたい状況のお陰で、最後まで踏ん張れました。


 私に初めての体験や学びを頂いたこと、そして励ましていただいたこと、改めて本当にありがとうございました。


 

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ボイドの手帳 しらす @toki_t

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