第31話 梅雨の時期こそテンション上げていかなな
「じゃあまず誰から入ろう?」
「じゃ…じゃあ…ボクが先いいかな?」
「おけい、んなら次俺はいるわ。」
「じゃ俺3番目!」
「わたし4番目ー!」
「じゃ…5番で。」
「んじゃ伊織どうぞー、って、俺ちょいトイレ行ってくるわ。」
「よし、景一いったね。」
「作戦会議ー!」
「麦野、声でかいわよ。」
「はっはー!そうだなぁ!」
「はぁ…ここには声デカいのが半分もいるのか…。」
「まぁそこらへんは置いといて、どうにか…ボクのこと隠し通せないかなぁ…。」
「俺たちに任せろ!景一の気は俺らが引いておく!だから伊織はゆっくり入っとけぃ!」
「そう、わたしたちがやってやるよ!」
「任せて。」
「ぼくたち妹弟も協力しますぜ!」
「…もしかして聞いてた?」
「いや、前遊びに来てくれた時に察してたんですよ絵実たち。やから今日で確信もてました。」
「そうか…みんなぁ、ありがとう!じゃあお風呂、行ってくるね。」
「あぁ、いってらっしゃい。」
「てか、なんでこんな壮大なんだよ風呂一つで。」
ボクはみんなを信じ、風呂場へ向かう。
「っしゃ〜っと、お、伊織風呂いったんか。んじゃ俺らはゲームしとこーぜー。」
『おうよ!』
_________
「よし、景一のお風呂を楽しみつつ、警戒せねば。」
ここでバレてしまったら最後。友達、ましてや景一の家族の前で告白をしないといけない。
「よし、服はここらへんにかためていい感じにバレないように…って!ブラジャーどうしよう…。とりあえずん〜、タオルの下に敷いて隠しとくか。後で取らないとね。」
ボクは景一のお風呂に、いざご入場。
「うぉ〜!広い〜!楽しみになってきた。」
「…ってか、このシャンプーとか、めっちゃいいやつじゃん。景一のいい匂いの秘訣はこれか…!」
なるほどなるほど。じゃ洗いますか。
ボクはショートだから、実質男の子並みに髪の毛が乾かしやすい。すごく楽だよ?髪にあまり時間かけないから時短すごい。
とボクの髪型はどうでもよくて、そんなことを思っていると体は洗い終わっていた。
「ふぅ〜、お風呂きもちいぃ〜。一体化しそう〜。雨にうたれたあとのお風呂は最高じゃ
ぁ〜。」
溶けそう。今にでもお湯になりそうな勢い。
湯気で白いモヤがかかり視界が霞み、それがまた幻想的なのもまたをかし。
「あ〜、寝てしまいそぉ〜。サイッコ〜。」
「っと!気づいたら10分入っていた!そろそろ出ようかな、のぼせてきた。」
くらくらしつつも、ボクはお風呂を上がる。
のぼせ間際に外に出るとグワングワンして世界が回っているあの感覚。それがすごく気持ちいい。
少し朦朧としつつも、タオルで体を拭く。
「あ〜、最高だったなぁ。あっ、いい匂いしてる。」
拭き終わって、服を着る。
なんっか〜忘れてるような気もするけど…、なんだろう、わからないからいいや。
かためてあった服たちをカバンにつめて、景一の部屋へレッツゴー!
_________
「おー、おかえり〜って!なんかお前…髪の毛濡れてっとすげぇ…これぞ"美"って感じや…!」
『うわ〜すげぇ〜!』
「そ…そうかな。」
ボクにみんなが目を光らせている。恥ずかしい…。照れちゃう…。
「んじゃ、俺入ってくるわ〜。」
「はーい、いってらっしゃーい!」
…ってあ!
ボクは気づきたくない事実に気づいてしまった。
ブラジャーをタオルの上に置いていて放置してきてしまったということを。
________
「っしゃ〜って、ん…?なんやこれ、って!ブラジャーやんけ。誰のやねん…ちょっと…うーん…ヤバいわ。ちょっと高校男児には刺激強すぎやわ。あーやべ下が起きてきた。いやまてよ…これ絵実のやったら…?」
「ヴゥェエェそれはいかんな。萎えたぜ。」
そう、高校男児にはキツすぎたものだが、妹のものと考えると萎えるのだ。なんでやろう。
「まぁ風呂入った後聞いてみるか…あんまやりたくないけど。」
_________
「どどどどうしよう!!!」
「伊織…何かあったの?」
「どうした伊織!」
「いやあの…その…。ブラを…」
「おっとこれは男耳塞ぐべきか?」
「いやもういいよ、いやその…自分のソレを…タオルの上に置いてきてしまった…。」
『ァァァァァァァァ!』
「どうしたらいいんだよー!まー、最悪わたしのーって言って誤魔化せばいいから大丈夫!」
「いや…ここはわたし、絵実がいく。」
『おぉ、我らが英雄、絵実様よ。』
「じゃ…じゃあお願い…します!」
「絵実に任せてくだしい!」
_________
「っしゃあ〜、風呂も上がったしみんなに聞くか。」
自分の部屋へと向かう。そして、
「おいちょっといいかみんな?」
「いやあの…さ、あの…そのー、女の子の用品?というか、身につけるもの?誰のか知らんけど置いてあったわけなんですよ。」
あーなんか聞きづれぇ。ごまかしで行くしかねぇ。
「実物、見せた方がいいか…?いやあの今一応持ってるんですけど、ちょっと公開」
「あー、それタオルの上に置いてたやつやろ?それ絵実のや!触んなボケぃ!」
「あまじか、そうやったんか…。」
「おいなんでちょっと悲しそうやねん。思春期の女の子の下着持つとか、変態!」
「うわかったわかったごめん!すまんかったです。あとでアイス買うから。」
「んじゃいいよー。」
「軽。」
「んじゃもう今返してよね。」
「あっ…はい。」
「よーし、んじゃ次俺入ってくるぜ!」
「おういってら〜。」
もう怖いから今度見つけても見なかったことにしよう。
_________
「よし俺らでゲーム再開やな。」
「よ…よし!そうだね!」
ん…視線を感じる…、って、絵実ちゃん!
…あ、目で合図送ってくれてたのか。
(ブラジャー、今のうちに直しといてください!ささ、はやく!)
(りょ…了解ぃ!)
テレパシーで会話したような気がしたけど、景一が見ていない隙に、すぐさま回収した。
(ないっす!ほんと、にいににあとで怒っとくね!)
(うぅう…ありがとう…絵実ちゃん…!)
(絵実たちも協力して隠し通すから、その…頑張ってコイツをおとしてやってね!)
(なんて優しいんだ…絵実ちゃん…今度アイス買ってあげる!)
(やったぁ!)
絵実には感謝しかない。危機的状況からの救世主、恩人である。
________
その後順に麦野、鍵塚と風呂も入って。
「まだ雨降ってるねー!どうして帰ろうかなー。
「今日雨やまんらしいぞ…、ってあ!」
「ワタシが送ってあげようか?皆の衆。」
「Oh…ロミオ…!」
「いやアンタの母親やけど。」
「よしみんな帰るなら送ってやるってさ!」
『ありがとうございます!』
そしてみんな荷物をまとめ、車に乗り込む。
________そして順に全員帰した。
「はわゎ…、ボクの下着触られちゃったよぉ…恥ずかしすぎるぅ…!もうボクのバカ!」
一人、家の玄関前で赤面し悶えていた。
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