第29話 恋する乙女の夢

「はぁ〜、何事もなく中間も終わって、もう疲れたよ〜。」


「おう、おつかれさん。」


「いや〜、そういえば景一すごかったんだよ!本当のノー勉で上から4番目って!」


「はいはい、彼氏の自慢はいいから。てか、それすごいな普通に。」


「まだ彼氏じゃない!」


「ほう…"まだ"なんだな?」


「もう…カァァ///うるさいよ!もう!」


「まぁオクトパスさん、落ち着きなさって。てか疲れただろうし、もうもろもろやっちゃって寝なんし。」


「うん…そうするよ!言われなくても!兄ちゃんのバカ!」


ボクはもう恥ずかしくてたまらなくなってその場を飛び出した。


「ありゃま。まぁいっか、妹からかうのってやっぱ楽しいな。」


__________


ボクは、晩飯やらお風呂やらもろもろ済ませ、みんなとゲームをし、いつもより早く寝床についた。


______



「ボ…ボボボボ…ボボボ…!」


「え…ボーちゃん…?」


「う…ちがーう!ボク…と!付き合って…くだしゃい…むぅ…。」


「…!そうやったんやな…やっぱそうやったんやな…。」


「景…いち…くん…?」


「こちらこそ、よろしくお願いします。俺なんかを選んでくれてありがとう…お前には感謝しきれねぇよ…バカヤロウ…。」


景一は、ボクの告白を受け入れてくれた。


「というか、俺はもうとっくに気づいてたんや。あの日、確信してたんや。俺もそれ気づいたときはビビったけどよ…。」


「けど……?」


「俺…伊織とやったらなんでもできる気がすんねん…やから、俺も告ろう思ってたんやけど…ハハ、ヘタレ発動や。」


「…プッ、ハハハッ。」

 

「…って、何笑ってんねん!…まぁやから…その…なんや、あの…、次ぃ、は!俺から!告白させてほしい。」


「景一らしいね。わかった。ボクも頑張ったんだよ?実はいつものメンバーにずっと相談して、練って練って練りまくったんだよ。知らなかったでしょ。」


「え…そんなことあったんや…知らんかったわ。」


「だから、成功したかった。昔から…ずっと景一のことが好きだった。ずっと背中を追ってた。ずっと…会いたかった。だからこうして…いられるのも…幸せなんだ。」


「そうか…ありがとう。そんなこと思っててくれて。まぁ伊織は俺の初恋であり最後の恋愛やったからな。俺もずっと好きやったんやけど…離れてから…。」


「いや、そんとき俺決めてん。次伊織に会うときは、胸張れるような人間になって帰ってきて、俺が告白して結婚するんや!って…。」


「でも、ヘタレが?」


「出ちゃったんや。」


『ハハハハ!!!』


「そうだったんだね…てか何で気づかなかったんだよ!バカ!」


「俺のスキル、"鈍感"…ずっと発動してたんよね。全くわからんかったわ。」


「ボクは最初の方から気づいてたけどね。」


「さすがやな…、なぁ…今なんや…その…ちょっと恥ずいねんけど、抱きしめていい…?」


「どうぞ…喜んで…!」


ボクと景一は、ぎゅっと、抱きしめあった。


「景一って…やっぱりあったかいね。」


「お前こそ…あったけぇ。」


「ふふ、すごいなぁ。景一のこんな恥ずかしがる姿、初めてみた。」


「伊織ぃ…まぁ…うん。ちなみにお前も顔真っ赤やけどな。」


「ハハハッ、ボクたちそろって」


『タコなんだね』


と言った瞬間、景一が…ボクに…。


「ハッ!」


「ごめん…ついしたくなっちゃって。」


「じゃあボクも仕返しだよ!」


ボクたちは、頬にキスをした。


そして…、


「ちょっと…景一、目…瞑って…。」


「お…おうええぞ。」


「え…えい!」


ボクたちは、唇同士を触れ合わせた。


暖かくて柔らかい。ファーストキスは景一だった。


「いや…ちょっと足りない。」


「え…えぇえ!おま…ちょ…。」


舌を景一の中に入れる。俗に言う、ベロチューってやつか…。


いやらしい音を立てながら、2人は抱きあい、体を密着させ…それは約30秒ほどの出来事だった。


「だハァ…ッ、伊織も…肉食系なんやな…、まさかこんなクールなやつが、ここまで積極的とは…思わへんかった。」


「へへ、そうでしょ。誰にも見せたことない一面だよ。でもこんな淫らな…女の子でも…、受け止めてくれる…?」


「あぁ、もちろん。だって大好きやからな。」


「ふふ、嬉しい。」


「ねぇ…ボク…ここまできたなら…したい。」


「ん?どうした…トイレでも」


「違う…!景一と…一つになりたい!カァァ//」


「ハッ!そ…そういうことか…。俺は…いいよ。でもお前…準備とかその辺は…。」


「大丈夫、景一のなら全て受け止めれる。」


「そうか…じゃあ…一緒にやっちゃおう。」


「うん…!」


ボクたちは、ボクの家に行く。


そして、夜。


「今日…誰もおらへんねやな。」


「うん…準備はしてあるよ。」


「じゃあ…やっちゃうよ…。」


「う…ん。」


「でも経験ねぇし、上手くできるかわからへんけど…触っていい…か?」


「うん…いいよ。」


「じゃあ…」


______


「【だめぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!】」


「っハァ…ハァ…ハァ、ってァァァァァ!!!目が覚めちゃったぁぁぁあ!!!ついうっかり恥ずかしすぎて止めちゃった!!!(消音)」


ボクは眠りから覚めた。一番いいところで、やってしまった。一番、シたいところで。


「てか"あの日"ってなんだよ!そんな日ね〜よ〜。でボクは痴女かぁ…もうこんな淫らなとこ、景一に知られたら絶対…!あぁ、もうわすれたいから寝よう。」


ボクはもう死にそうなくらい恥ずかしい思いをしたので、寝ることにした。もう忘れたいことだよ。こんなこと、人に話せるわけがない。ボクの中だけで秘めておくしかない。


もう…自分が嫌になってくる…。どれだけ景一のこと…好きなんだよ…。つくづく思い知らされる、自分がどれだけ恥ずかしいやつなのか。


もう寝る。寝てすっきり忘れるんだ!

でも…あの続き…みたかったなぁ。


ボクはゆっくり目を閉じる。


___________


「ん…あ…、もう朝だ。あぁ、なんか頭が痛いや。なんでだろう。昨日何かやっちゃったかな。あそっか、中間から解放されて、寝過ぎちゃったからか。」


ボクは起きた。


なぜかわからないけど、今すっごく幸せで、ちょっとモヤモヤしている気分…いつもよりよく寝たからかな、と思っておこう。

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