第28話 いざ中間と絶望…?

「えー、それでは今から50分間、現代文です。よーい、始め。」


「アァーーーーーー!!!(心の声)」


___________遡ること15分前


「なあなあ伊織。」


「どうしたの?」


「いやなんか違和感でしかないんやけどさ。」


「うんうん。」


「なんでみんなこんなに黒板睨んでんの?」


「え、嘘でしょ景一。もしかして…今日試験って知らないの…?」


「んなまさかー、今日って何日やねんよ。」


「今日は10日だな!あっはっは!」


「うるっせぇよほんと、朝から。」


「すんません。」


「おお釘本に鍵塚。いやいや今日って10日やん……、え?釘本お前なんて言った?」


「いやー今日は10日だから、試験初日だぜ?」


「そうよ…ちゃんと勉強してきたんだろうね?」


え?嘘やろ?今日…?試験…?え…?


語彙力が低下してきた。全く勉強してへんかったのに、どうすんねんまじで!!


いやしかし、こいつらの演技やと信じたい。


「いやいや嘘つきーな、お前ら昨日電話で、『え?試験ってなんぞや?』とか言ってたやんけ!なんで言ってくれへんのよ〜もーーー。」


「時間って…あっという間だよね。」


「うぉーーーーーー!!!もうええわ!地頭見せたんねんよ!!!とりあえず赤点だけは回避したいものだよね。」


「赤点回避で満足する勢か…!やるな、景一。」


「そうやその通りや。及第点さえ取れればええんや。てことで、死にまーす。」


「あぁあ、あれほど勉強しとけって言ったのに…。景一はバカだね。」


「鍵塚…!見捨てるなよ俺のことぉ!てかお前らは勉強してんかよ!?」


『してるに決まってんじゃん。』


「おっすおっすー!みんな元気じゃーん?」


「おぉ麦野!お前今日何あるか知ってんか?」


「中間に決まったんじゃーん。え、もしかして景一知らなかったのー?」


「え…うん。」


「だからあんなに昨日余裕ぶっこいて私たちと通話してたのねー!納得納得ぅ。」


「だからお前もなんで教えてくれへんねんよ〜!!!!」


俺の魂の叫びは、チャイムの音に儚く消えた。


____________



「俺は決めたんや。これまでに鍛え上げてきたこのクソみたいな脳みそフル回転させて勝負に挑む!」


そう、胸に誓った。



______________のはいいものの。


そんな意気込んでたこいつも3日目には意気消沈していた。いや、マジでホンマ、担任簡単とか言いやがってよ。バリムズやんけ。え?大学入試??レベルのやつしか並んでへんやんか。


「一夜漬けでどうこうなるモンちゃうやんけーーーー!!!」


『はぁ、全く景一は。』


皆の呆れ声が俺を串刺しにした。


__________そして


「えー、これで中間試験は終わりです。各自復習しておくように。ではさようなら。」


地獄の3日間は幕を閉じた。


「え、お前らこれとか解けたん?」


「これねぇ…まぁ授業の応用だったから、会ってる保証はないけど。」


「私解けたよー?結構難しかったよね!」


「現代文だけは1番簡単だったよね。」


「やっぱりバリムズは数学だな!あっはっは!」


「俺…全部最難関やったんやけど。」


「まぁ終わったことは忘れなさいよ。」


「帰ってゲームしようぜぃ!」


「ボクももちろんやるよ。」


「私もー!今日は友達みんなバイトだから空いてるよ!」


「お前ら…!よし自堕落生活ぅー?」


『開始!!!』


そうです俺たちはこのテンションでなんとか乗り切ってます。

がしかし、結果が怖いので、全然安心できませんはい、終わりでーす!(こち亀の例の)


「あ、すまん伝えるの忘れてたが、今回上位100名は掲示板に、上から順に発表されていく。そして試験返却は明日だ。心しておくようにな。」


担任の一言で教室が冷えた。


もう少し時間があるかなと気を抜いていた輩(自分を含む)は凍りついたように動かなくなってしまった。


「おい…おい安心できねぇじゃねぇか。」


「まぁ…いっか!ボク達もうしーらない♪」


『いえーーーい!!!!!』


声を発しているのは俺らだけやから、会場が一気に気まずくなる。


「じゃ…じゃあ、バイバイ。」


「おうまたな!」


『バイバーイ!』


凍りついた中、俺らは颯爽と帰る。


___________


「にいにーおつかれー。どうやった?」


「無事死亡。」


「はっひゃひゃ!さすがやなぁにいには。」


「もう誰も試験あるとか言ってくれへんかったから全く勉強してへんかったんやって。」


「それはにいにの注意不足。ホンマにアホやん笑笑。」


「いやぁ…正論ぶちこむなよ…、それも発表明日やし。」


「あらら。」


「まぁでも赤点さえ取らへんかったらええんやからな!おん!多分大丈夫!いけるいける!」


「これで赤点あったらおもろいね。」


「あかんてそんなこと言うなてあああああ」


「あ、バグった。まえっか。」


絵実は俺をバグらせて、鼻歌を歌いながら俺の部屋を出ていった。


____________


ついに発表のとき。


えっと、かなり緊張してます。てか俺がこの掲示板に載ってたらマジ天才の域やと思う。半分くらい勘で書いたからな。



「おいおいお前ら押すなって…っておい!?は?は?は?俺…4番?」


「私5番目ー!やー嬉しい!!!」


「わたし6番。」


「俺7番だったな!」


「ボク、3番だったね。」


「てか景一お前すげぇな!さすが関西弁なだけあるな!」


「いやなんも関係あらへんやん。てかノー勉でここまでって…やっぱあの勉強会が効いたんやな!」


「てかこの友達、いや親友グループ連続上位番号ってすごいね!」


「ほんとだよ。私たちそんなに頭良かったんだね。」


「てか、お前らすごすぎ。そんな頭良かったんやとは。戦慄もんやな。あんだけゲームしといてこれは、もう側から見たらナメてる奴らや思われとるやろ笑笑。」


『たしかに』


「いやハモんなし。」


宮野「おーーーーーーーーーい!」


景一「おおそんな慌ててどうした宮野。」


宮野「僕は…ハァ…9…ハァッ…番だったぞ…ゴホッ。」


景一「いや死にかけやん。てか9番とかやるな。」


宮野「景一は…ってァァァァァァ負けたぁ…。」


景一「てかよ、これよく見たら、上位10位まで全部人狼メンツやん。」


宮野「森田がトップだよ…ハァッハァ…。」


伊織「やるねぇ…森田くん。」


景一「まぁ何事もなく、終わってくれてホッとしたわ。」


釘本「よかったよかった!めでたしめでたし!」


鍵塚「一応…順位まとめとくと、1位から順に、森田、大飼、伊織、景一、麦野、私、釘本、雷場、宮野、水原の順だね。」


景一「ガチすげぇと思う。お前らやっぱ天才なんやな。」


『いや〜、それほどでもぉ〜。』


景一「やっぱノリだけはピカイチ。」


こうして安泰に、中間試験は幕を閉じた。

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