第26話 久々の登校と禁忌、やっちゃうか!

なんで、久々の学校ってだるいんやろな。学校クソ楽しいのに、朝だけは無理や。なんでや。


と、通学路を闊歩してると、


「おーい景一ぃーー!待ってよーー!」


あ、忘れてた。伊織と集合していくことなったんや。あらあらマジ申し訳ない。


「あぁ、申し訳ねぇ。完全抜けてたわ。」


「いやぁ…景一速いから歩くの。追いつくのに必死だよ…。」


「いやーすまねえ。朝は眠てぇから集中力が…。」


「まぁいいか、んじゃ景一、いくよ。」


「おう…!」


___________


「おはよう景一たち!って、景一のほうは眠たそうだなぁ!あっはっは!!!」


「うっさい朝から…2人とも、おはよう。」


「おはよー!景一くんに伊織くん!」


「いや〜休みあっという間やったなぁ…って俺今めっちゃヤバいこと気づいてんけど。」


「どうした?」


そう、


「宿題、忘れちゃった」


『ア』


俺を中心に半径1m半の範囲が凍りついた。


「どうしたらいいんだよぉ!!!!」


「ヤバいヤバい、景一なんでラインで教えてくれなかったの〜。」


「マジヤバじゃん!どうしよどうしよー。」


「ふっふっふ、実は私…。」


『鍵塚…お前まさか…!』


「も、忘れたんだよね…。」


『同類だったんかい。』


そして俺らはホームルーム後、先生に死ぬほど謝って、次の日持ってくるということを約束した。


_______放課後帰り


「なぁ伊織、ちょいと気になるんやけどさ。」


「ん?どうしたの。」


「いやーさ、いつも帰りに、あの自販機みえるやんか。」


「あぁ、あれね。そうだねいつもみえるね。」


「あれよくみたらよ、酒の自販機なんよ。」


「景一、お前まさか…。」


「ちょっとだけやってみね?」


「マジでか…。景一も落ちぶれたか…!」


「いやちゃうって!いやーずっと気になるからさ。」


「まぁ…ボクも正直少し気になってた。」


「よな!やからさぁ…まぁ俺ら16やけど…。」


「てことは…禁忌に触れてしまうのか…!」


「でもさ、俺らまぁ多分やけど、親からちょっともらったくらいしか飲んだことないやろ。」


「そうだね…。うーーん!ダメなことってわかってるのに、好奇心が…!!」


「一本ずつだけ…やってみる?」


「うーーーー!やってみっか。」


「よし決まり。」


で、知らないうちに俺らはかの自動販売機の前にいた。


「俺ら足勝手に動いとったな。」


「やっぱ引き返すべきなんじゃ…いやうーーん!ダメだ葛藤が!」


「一応、人気はないぜ?周りにいたら厄介やからな。」


「よし、ボクも腹括ったよ。」


「いやうん、そこまで真剣ならんくても。まぁええや、やろう。」


「ちなみにビールかチューハイかどっちする?」


「とりあえずチューハイでいこう。」


「とりあえずってなんやねん笑笑。」


俺はお金を入れて、チューハイを2缶買った。


「ついにやっちゃったよ…。」


「俺らもワルか!高校デビューして調子乗ってる輩と同じやけど、まぁいってみますか!」


同時にプシュッ、カコッと気持ちの良い音色を奏でる。


「おお、これが缶でちゃんと存在する酒か。」


「ほんま、俺らあ"かん"よな!あーっはっはっは!」


「ごめんだけど、1ミリもおもしろかった。」


「いやおもしろかったんかい。」


「じゃ…じゃあいくよ…!!せーの!」


グビッグビッと魔法の液体がのどを通過した。


「おーやっぱチューハイはうまいな!…あれ?返事ねぇぞ…ま、まさか急性アルコール中毒…!」


伊織から返事がない。まさか…と思った瞬間。


「景一〜!ボクなんかフラフラするよ〜。アハァー。すげぇぜこれ…、なんだこれは〜…!」


早くね?てか弱くね?二口ぐらいやぞ?


「おぉおぉ伊織どうした、お前まさか酔っとんちゃう?」


「いや〜いや、そんなわけね〜よぉ〜。ボクが酔う訳ないよ〜。景一、ボクは君のこと、誰よりもずーっと好きなんだよ…?」


お、おう、まぁ俺もやけど。高校初の友達やからな。


「おうおうありがてぇけどよ、ほぼまともに立ててないやんけ。俺も大好きやから。ささ、近くの公園まで行って休憩しますか。」



【ふふっ、ボクはずっと昔から好きだったよ…?】



「ん?今なんか言ったか?」


ぐー…すぴーっ、ぐー…すぴーっ、と。


「あ寝ちゃった。あぁあまぁ余った酒は俺が飲むか。じゃっ、おぶっていきますかね。」


俺は近くの広めの公園向かって、足を動かす。


___________


「ん…ここは…どこだ…?」


「あ、やっと起きた。ここは京橋公園や。伊織が寝てもーたからここまできて休んでた。寝転ばせるわけにもいかんから、俺の肩で寝かしてたってわけ。」


「ひ…ひゃいっ!…な、なりゅほど…!」


「どうした、顔赤いぞ。そっかまだ酔ってんか。」


「いやー、もう覚めたよ…。ご、ごめんね迷惑かけちゃって…。」


「ええってこった。別になーんにも減るもんじゃないんやし。てかお前、やっぱ寝顔すげぇかわいい顔してんな。あとはその驚き具合。」


「い…いやー、そんなことないと思うけどなぁ…。てか、そんな恥ずかしいこと言わないでよ、まったくぅ。」


「まぁそう頬を膨らますな。ふぐみたいやな。まぁ酒とか缶もろもろは俺が処理しといたから安心せー。」


「なにからなにまで、ありがとう。迷惑かけちゃって…ごめん。まさかここまで弱いとは…。」


「いやー、まさか二口くらいで…って思ったら、あの間で缶の3分の2飲んどったからな。お前吸引力ヤバすぎ。」


「そりゃ一気に飲んじゃったら酔っちゃうか…。」


「まぁともかく、伊織顔まだ赤いし、もうちょいゆっくりしていくか。」


「そうだね…ありがとう。」


【景一の肩、とってもたくましいね。曖昧だけど昔を思い出す。……だとしたらずっとボクは大好きだったんだよ。】


「ん?なんか言ったか?」


「いいや、なにも。」


「お、おいくっつくなよ。…まぁええか、ほれ、まぁ肩にでももたれとけ。」


「ありがとう。」


俺らは夕方、少年少女たちが帰る時間くらいまでゆっくりしようと決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る