第21話 さて本番

「いや〜おはよぉ〜。釘本くんよぉ〜。」


「おう!おはよう!景一…って、眠そうだな。」


「おはよ、鍵塚さん。」


「おおおおはようござざいます佐々野さん…!」


「すごい動揺の仕方やな。」


「ムゥ…うるさいよお。」


「まぁ今日も一日張り切っていこうではないか!景一たちよ!」


『おう!!!』


_________一方景一たちがくる前のクラスの皆


「なんか、伊織くんの家から、景一くんも一緒に出てきたんだって!」


「私もみたよ!びっくりした!」


「俺も見たぜ。もしかしてアイツら…。」


「キャァーー!!!!そう言う感じ…!?でも、まだ景一くんは気づいてなさそうだよ、例のアレに。」


「そしたらなんで、」



『景一くんは伊織くんの家から出てきたんだ?』



みんなが不思議で不思議でたまらないのである。ちなみにそのことを知らないのは、遅刻間近に来た景一と伊織だけである。


もちろん、鍵塚も釘本も知っている。


「そうか景一…まだ気づかないか…頑張ってくれよ。俺たちはあの初恋を守るために生まれてきたようなもの!」


「なんとしてでも…守らないとね。」


『あの2人の未来を!!』


クラスは団結した。

必ず、かの純情可憐の恋を実らせねばならぬと決意した。景一には(伊織の)性別がわからぬ。



というか、初恋ってのバレてるぞ、伊織。

かなり重要なのバラしてるじゃねえか。知らねぇうちに自分で。


___________そんなこんなで


「ハハハ!よくぞきてくれた景一くん!」


「はぁ、まぁうん、クソ眠いんやけどね。」


「さてさて、放課後にもなったし、やろうではないか!伊織くんは付き添いかな?」


「景一の勇姿を見守るためにきたんだよ。」


「そうかそうか!では席についてもらおう、景一くん。」


「それじゃ、伊織、まぁ勝ってくるわ!アハハ!」


「ナメてちゃあ困るぜ?景一くん。ではいざ、勝負!」


「おうよ!」


「では試験監督の釘本くん、よろしく。」


「試験科目は社会(歴史)!制限時間は40分。ではよーーい、始め!!!」


ひたすらに机に向かって。


___________


「はい、終了で〜〜す!!!お疲れ様でしたぜ!」


「いや〜終わった終わった。帰って寝るか。」


「景一くんは余裕そうだね!さて、相互採点の時間だ!先生が解答を持ってきてくださるので。」


「はいよ〜。」


「景一、どうだったの…?」


「伊織、心配すんな。ガチで年号と並び替えしかでーへんかった。特訓ありがとうな。感謝してる。」


「そうなんだ…それはよかった。」


___________


「採点が終了しました!では100点満点中の点数を発表いたします!」


緊張の瞬間。


「宮野くん!点数は……93点!」


「ま9割は当然よね!さぁ景一くん!どうだ?」


「そして景一!点数は……」


わかりきっている。


「100点!おめでとう!勝者、景一!」


「当然の結果や。なんてったって伊織が昨日、ひたすら俺と特訓してくれたんやからな。」


「クッソォォォォォ!!!!また負けたじゃないか!クッ…。」


「さぁ、終わったことやし帰るか!伊織!…とその前に…。」


ひらめいた。俺はある提案を持ちかける。


「人狼しないか???」


ここら全員の顔がハテナになる。まぁそんな急やったらそうなるわな。


「人狼ゲームなら頭の良さ、試されるぜ?あとは嘘を堂々とつける覚悟と推理力。」


「やってやろうじゃない!」


「んじゃ、友達集めといてや。明日の昼休み俺らのクラス来てや。やるぞ!」


「わかった。任せて!」


「ではこれにより、『宮野・景一頂上決戦』を閉幕させていただきます。解散!!!」


「はい!」


無事、何事もなく終了した。


____________


「景一、そういえばどんな問題出たの?」


「まさに昨日の特訓のところよ。」


「簡単だったの…か?」


「まぁそんなむずくなかったな。いやはやしかし、何事もなく終わってよかったぜ。」


「ほんと…夜更かししたのによくやってくれたよ…。」


「まぁ俺をナメてちゃあ困るぜ?あんちゃん。」


「いいや、信じてたよ。ずっと。」


「そうか?それは嬉しいな、期待に応えられて。んじゃ、バイバイするついでに、これを。」


「なに…?どうしたの?」


「まずはお前への感謝。伊織がおらんかったら多分死んでた。」


俺は伊織のことを抱きしめた。

めいっぱい、力を込めつつも優しく。


「お前がいなくちゃ今回なかなかヤバかった。」


「絶対1人やったら適当に流してた。けどよ、こんなに信じてくれて、こんなに一緒になってやってくれたのに、恩を仇で返すわけにはいかんかったよ。」


「やから…俺はやったぜ。お前は一生の親友ぜよ。」


「景一…ありがとう。大好き。」


てかこの光景なかなかすごい絵面やぞ。

男2人が街のど真ん中で抱き合ってるって相当。


「おう、俺もやぞ。」


「てかよ、いつまで抱き合っとるんや笑笑。また飯奢るぜ、この恩。と、あとは佐々野一家に返さんとな。ちょ今から行っておけ?」


「う…うん多分大丈夫だとは思うよ。」


「じゃあケーキ買って帰りますわ。伊織んちのご家族に。」


「それは…ありがとう。じゃ…お願いします。今は少し甘えます。」


「どんと甘えちゃって!」


そして俺らはケーキ屋へ向かった。

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