第4話 球技って…ムズイよな①

「えー、今日やってもらうのは…って言っても、初回から決めるのもアレだから自由にしてくれ。何をしてもらっても構わん。」


よしきた!自由時間ほど嬉しいものはない。


先生が欠席したときの自習の時間や体育の自由時間はなにかと嬉しいものである。


だがしかし、俺はほぼ何も得意としない。

特に球技である。球を自由自在に操れるやつの気が知れない。

でも、そんな俺でも一つ、少しだけできるスポーツがある。


バレーボールだ。


よく中学の時、友達と昼休みに、サッカーでいうワンリフ的なものをしたり、時には体育館を借りてコートを作って試合をしたりと、少しだけならできるのである。

しかし俺はあまり上手ではない。

でも唯一楽しいと思えるのがバレーなのだ。


「よし、伊織よ。バレーしようぜ!」


俺の友達に懇願してみる。


「おぉいいねぇそれ。久々にやるかも。」


「っていっても俺らしかいねぇし、あのワンリフ的なやつ…わかるかな、それしようぜ。」


どうか理解してほしい。みんなよくやるはずのアレだから。


「あーあ!あれね、了解。サーブの練習とかもするか。」


「ありあり、んならボール取ってくるわ。」


「おけい、ありがとう。」


俺は意気揚々とボールをとりにいく。


「よっしゃぁ!久々アレできるぜ、伊織と。」


___________


「バレーかぁ…久々で腕がなるな。でもなぁ。」


景一がボールを取りにいってくれている間、ボクは考える。


よく中学の時、よく女子軍団のところと一緒にしてたな。昼休みはいろんなやつに遊びに誘われて、おかげさまでいろんなスポーツできるようになったよ。


でも男子軍団とした覚えはあまりない。女子軍団とよく揉めて結局女子のところで遊んでたから。


ボクはいろいろなところに所属して遊んできた。たくさん遊んだおかげでかなりたくさんのスポーツに触れられた。


自分で言うのもアレだが、ボクは運動神経がかなりいい方なので、要領さえわかれば大抵はなんでもできる。


でもそのおかげか、そのせいか、はたまたいろんなグループに所属していたからなのか、特定の友達、とか特定の仲間、っていうのがあまりなかった。

自分から交流しにいくっていうのがなかったから。


けど今は違う。はっきりボクのことを友達と言ってくれた、認めてくれた景一がいる。

ボクはそれだけでもとても嬉しい。


「よし、景一には、いいとこみせないとな。」


気合を入れ直す。空は天高く、太陽の光とともに、青く輝いている。


そうしていると、


「ボールええのみつかったわぁ〜。取ってきたぞーー。」


景一がボールを持って帰ってきた。


「よしやるか!」


「おうよ!」


懐かしきアノ遊びが、始まる。


__________


「んなら俺からいくでぇ〜。じゃあ落とした方が負けな。まぁこれくらいなら俺でもいけるよ。うん。多分。」


「おぉ、なんか心配だけど。やるか。」


「負けた方は腕立て10回ずつやっていくか。」


「よしそれでいこう。」


「んじゃ、えい!」


俺はボールをパスする。わざと右にそらした。無理矢理取ろうとすると外しそうな位置を狙った。が、


「おうよ!そーれ!」


「おぅ、あれとれたんやな。」


「まぁね。」


悔しい。では次は足元をねらう。


「はいよ、えい!」


「甘いぜ、景一よ。」


「え、まじかからだやっぱり柔らかぇな。」


クソ、タコかよってぐらい自由に動けてやがる。なら、あえて直線で!


「ほい、オーバーパスぜ。」


「おりゃぁぁ!」


かなり強めに、というかほぼ本気で返す…のだが、


「おお、強いな。」


「おいあれとれるんかよ!ヤベェ。」


「そしたら、こちらもいかせてもらいますよっ!エイ!」


そのとき、死を感じた。普通にサーブをうってきた。ボールが真正面から、顔面へと襲ってくる。速すぎて自分は動きようもない。気がついたときには、もう遅かった。手が反応しない。

俺は倒れた。

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