身に覚えのない嫉妬

キャロットケーキ

第1話

1,


「身障者の人に!!身障者の人に集金に来て貰ったら悪いので 持参しました!!」「お寺の年会費です!身障者の人に!!身障者の人に集金に来てもらったら申し訳ないから!!」

玄関を開けると 、その人は家の奥に向かって 大声で叫んだ。

一瞬 ???何事か理解出来なくて 真弓はただ固まってしまった。

「身障者の人に!わざわざ来てもらったら悪いから!!」

少しづつ状況が解るにつれ恐ろしくなり、次第にワナワナと震えがきた。

確かに先月、脊柱管狭窄症の手術をし、術後 杖をついて歩いているから“身体障害者”になったけれど 自分では全く自覚していなかった。頭の片隅にすらなかった。

年齢を重ねると 多くの人が老眼になったり、耳が遠くなったり、病気や事故で身体が不自由になる人もいると思うけれど、面と向かって 大声で連呼されるとは想像した事もなかった。

お寺の当番が回ってきて、年老いた両親に替わり、私が初めて 年会費を集金する事になったので、集金5日前に 伺う日時を書いた手紙を門徒宅ポストに入れて廻った。明日が集金日という夕方 ピンポーン、ピンポーンと呼び鈴が鳴ったので 玄関を開けるといきなり 大声で叫ばれた。彼女は私より確か4~5歳上、この地域の人だけれど ごくたまに、お互い車ですれ違った時に会釈するくらいで 立ち話しすらした記憶も無いのに何故突然 爆発したように叫んだのだろうか?

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