第32話 「誇りを投げ捨ててまで、手に入れる価値のある欲望は、ない。という短編」

本日のピックアップ1作

「カクヨムの悪魔」 星都ハナス

https://kakuyomu.jp/works/16816452218249455143


こちら、昨年のカクコン6に参加された傑作ホラー短編です。



ホラーというのは。人間の心の中で展開する。

というのが、水ぎわの考えです。

この短編は、主人公の作家志望、バアル・ゼブブが

「書籍化したければ、悪魔である俺様の言うことを聴け。

選ばれた4人のうち、すべての悪行をクリアしたひとりが作家デビューできるぞ」

といわれ、難問に挑むお話です。


ホラーです。身の毛もよだつような難題が、悪魔から出されます。

主人公は己の善心を押し殺し、ラストステージまで来てしまうのです。

ここで、彼の出す結論とは何か。


水ぎわ、1年前にレビューを書きました。

そのときは、それしかない、と思ったレビューですが、今は全く違う結論を出します。

まず1年前のものを見てみましょうか。


『その誘惑は己を捨てて手に入れたいものか?…うん、おそらく、たぶんそう。


欲望のために己を売れるか。

願いをふりきるほどに、価値のある己か。

星都ハナスは、物語を進めるうちに読み手へ究極の二択を突き出してきます。

どちらをとっても苦みのある酒。


人間の欲望には、きりがありません。

100パーセント満足できることなんて、どこにもない。

何を選んでも、結局、別の後悔が残るでしょう。


欲望と後悔のバランスをとるのは、自分の筋です。

そこを通せるかどうかで、見える世界が変わってくる気がしますね。』


ここでお話のラストは語りませんが、主人公は自分なりの結論を出しました。

が。

最後の最後で、やっぱり星都ハナスという書き手は、苦い逡巡を余韻として残していきます。

それでよかったか?

ほんとうに、それでよかったか、と。



★★★

あれから、怒涛の一年を過ごした水ぎわは、いまならこう言います。

『己の誇りを投げ捨ててまで、手に入れる価値のある欲望は、ない』


人生には、いろいろなことがあります。

窮地に立たされ、目の前に安易な助け舟が見えた時、己の誇りを投げ捨てて泥船に乗ることもあるでしょう。

しかし、いったん枉げた信念は、二度と清らかな形では戻ってきません。


苦しまぎれに海中に投げ出した誇りは

嵐が収まったあとに拾い上げても、元どおりにはならないのです。

罪悪感の十字架を背負い、またあたらしく一歩ずつ進んで行かねばならない。


そのどちらも、尊い、と今の水ぎわは思います。

しかし、でき得れば。

水ぎわは己に愧じぬ決断を繰り返していきたい。

そのために泥をかぶることになろうが。

失った誇りを悔やんでいくことのほうが、いやだからです。

ま、このへんは、好みの問題かもしれないですね(笑)


というわけで、今日はここで終わり。

ふゆっちの詩を掲げる予定でしたが、

明日にしよう(笑)

きみの詩は、水ぎわの泥海に投げ入れるには清新なのです(笑)

ただ、書くということは

つねにグラグラしている判断の連続です。


迷いを恥じぬよう。

後悔もあることだと、覚悟しましょう。

水ぎわはその覚悟でここに戻ってきました。

それが、信念です。良くも悪くもない、それだけの事なのです。



今日はちょっとまじめに。

また、明日ね。

おやすみなさい。

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