得られなかった感情

「ねえ晃これ読んで。」

りんごは気に入っている本を持ってきた。まあいいか。これで読み聞かせをして寝てもらおう。もう夜だし。

「……幸せに暮らしましたとさ。」

もう寝てしまったようだ。ここだと風邪を引くな。りんごを抱っこしていつも寝ている寝床に置いた。その部屋には京花とほむらがいた。

「ありがとうございます。寝かしてくれて。」

まあいつものことだから慣れた。

「どうした京花。」

「ほむらとりんごが来て色々と私考えが変わったなって。元々人間が嫌いだったけど欲まみれな人間じゃない事をりんごから教えてもらった。できれば子供と接する職業に就きたかった。」

「なれますよ。だって私たちが来た時優しかったですもの。自由になったら就職できますよ。」

「ありがとう。私汚職が嫌で心理体になったの。生きる意味が見出せなくて。毎日欲ばかりの人間相手に嫌気がさした。でもほむらのお陰でなりたい自分が見つかった。貴方と出逢えて良かった。」

京花はそう言って部屋を出た。

「時間ありますか。」

「何かあったかい。」

「いつもりんごを見てくれてありがとうございます。」

「いやいいよ。助け合いだし。」

「ここに来なければこんな感情を知らなかったです。りんごをいつも見てくれている晃さんが大好きです。家族になっていただけませんでしょうか。りんごも望んでいます。」

私にはない感情だった。多分これが愛という物ということが分かった。

「自由になったら考える。それまでは出せない。」

今答えを出してしまうとこの先で何が起こるか分からないのでそう言い部屋を出た。

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