020 またいつか!

僕ら4人はギルドについていた。

入り口ではガランさんが目に涙をためながら僕とシンデレラを抱きしめて苦しかった。それくらい心配してくれていたんだと伝わってきた。


ギルドではミーナさんにも事の顛末を一通り話した。


「何その話!!?私全然理解できない!!!」


「あはは…ま、まぁ僕も似たようなもんですから……」


「それにしても不思議ね、彼女たち…」


ミーナさんはシンデレラとラプンツェルが戯れる姿を見て言う。


「そうですね、僕もそう思います…きっと何かあったんだと思うんですけど、それは分からなくて…」


「まぁ不思議なことだらけだもんね……もう、私の手には負えないわ」


ハハハと笑うミーナさん。普段の目にする依頼とは次元が違いするから無理もないかもしれない。


「あれ、そういえば、そのお姫様はどこ行ったの?」


「あーたしかに、そうですね、どこ行ったんでしょ?」


僕とミーナさんがきょろきょろとギルド内を見渡すが姿を確認できない。

と、そこにソフィさんが入り口から入ってくる姿が。


「どこ行ってたんですか?ソフィさん」


僕が訪ねる。


「え、ああ、ちょっと連絡をね…他にも私の依頼を手伝ってくれた人たちがいて、その人たちの国に」


「へーそうなんですね、僕が倒しちゃってよかったんですかね?」


「全然ですよ!…お願いしたのは私ですから!」


ほっと胸をなでおろす。

国に依頼していたとは、さすが一国のお姫様だ。

こんな、ただの一般冒険者が依頼をこなしたとなると、国同士の問題にならないかと危惧してしまう。


まぁ、ソフィさんのことだ良いように言ってくれてるだろう。


「それで、ウィル!お前たちはこれからどうするんだ?」


ドカッとカウンターにやってきたガランさんが僕に言う。


「そうですね…2人の記憶を探る旅に出ようかなって思っています」


「やはり、そうか…寂しくなるな……うぅぅ」


「ま、また会えますよ、そんな泣かなくても…あははは」


「もーガランさんは涙脆いんですから!」


ミーナさんがガランさんの背中を叩く。


「くーーー!だってよぉ!!せっかくこうやって知り合えたっていうのに……」


「ガランさんも冒険者なら、僕らといつかどこがでばったり会えますよ」


「…うう…確かにな…、お前アツい野郎だな」


「そうですかね…あはは」


ガランさんが僕の肩に手を置いて涙を流す。


「それならまずは私の国に来ませんか?」


ソフィさんが言う。


「え、ソフィさんの国に?」


「はい、シンデレラやラプンツェルの記憶のヒントになる物がその道中であるかもしれませんし、私もきちんと感謝の気持ちと報酬を渡したいですし」


「うーーん、そうだなぁ。……よし!シンデレラ!ラプンツェル!」


ギルド内のテーブルでお互いの髪を持って遊んでいる2人を呼びつける。

元々報酬目当てでもあったし、シンデレラとラプンツェルの記憶を探るいい機会だと思った。

ソフィさんの国行くことに僕は決めた。


とてとてと歩いてくるシンデレラとドカドカと歩いてやってくるラプンツェル。


「どしたのー?ウィル?」


「なんだよ、ウィル坊主」


「坊主って……ま、まぁいいや…僕らはこれからソフィさんの国に向かう!!」


「ソフィの!!やったああーーーーー!!」


喜ぶシンデレラ。


「なーんでついて行かなきゃなんねーんだよ…!」


腕を組んでぷいっっと顔を背けるラプンツェル。


「シンデレラと仲良くなったみたいだけど、離れ離れになっていいの?」


僕がそうラプンツェルに聞くと。


「な、なんだよ…、わーったよ!べ、別に行ってやってもいいぜ……ふんッ!」


「ふふ…よし!じゃあ、みんな出発だ!!!」


ラプンツェルが照れながら顔を背けて言う。

それを聞いて僕が腕を天に掲げる。


「わーーい!街の出口まで競争だよーー!ラプンツェルーー!!」


「なにーー!!よし来た!!ぜってーまけねー!!!」


2人はギルドの入口を走り抜けて出ていった。


「あいつら、どんだけ元気なんだ……」


ガランさんが少しあきれ気味でそれを見ていた。


「じゃあ、しばらくはさようならね…ウィルくん寂しくなるわ……」


「だな、…また会おうぜ!ウィル!!」


ミーナさんとガランさんが僕に言う。


「はい!いつか、また!………お世話になりました!」


荷物をまとめて僕とソフィも3人の後を追う様にギルドを出た。


「行こう!ソフィさん!」


「ええ!」


地面を踏みしめて走り出す。


シンデレラとラプンツェルにどんな謎や秘密があるのかは分からない。

でも、もうパシリと使われるだけの関係とは違って、僕にとってソフィさんやシンデレラやラプンツェルは大切な存在になりつつある。


僕の故郷の村の人々と同じように。


なら、僕は、もう失わないためにこの力を使って見せる。

シンデレラもラプンツェルも、この力も、閉ざされた扉があるって言うのなら。僕がその鍵を開けて見せる。



「おーーー!ウィルーーー!ソフィーーー!はやくーー!」


「おせーぞー!!2人ともーー!」



シンデレラとラプンツェルが手を振って街の出口で待っていた。

そこに向かって走り続ける。





ふと、空を見上げると、鳥が5羽飛んでいた。

自由にどこまでも行けそうな、これからどんな世界でも見て行けるような。そんな飛び方をしていた。


シャングは今、何をしているだろうか…。


彼らは僕のことをただのパシリにしか思っていなかったし、僕もただのパーティーメンバーにしか思っていなかったけど、それでも一緒に旅をした仲間だ。

元気にしてるかな。


元気にしてたらいいな。



5羽の鳥たちはバラバラにちって飛び去って行った。



ここからまた始まる、それぞれの道がある様に。

それぞれの運命がある様に。



また、始まっていく。



僕らは冒険者。

この世界を探検する者。その探究心はどこまでも終わらない。






【第1章ー完ー】

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最後の鍵の使い手 どんな宝箱でも開けれるので『アイテム回収役』としてパーティにいたけど、必要ないと罵倒され追放されました~えーっと、最強武器やアイテムは貸してただけですけど僕が抜けて大丈夫です?~ MYU @myu060309

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