第1章 覚醒~脱出 6 仲間 2

「セラちゃんは馬鹿よね!あんな怖い兵隊に文句を言うなんて。捕まった時だって、武器を持った兵隊に飛び掛かって怪我をしてたし。やっぱり馬鹿!大馬鹿よ。ダンお兄さんより考え無しの大馬鹿だわ!」


マリアルナから全力の罵倒を浴びていますね。気分は仁王立ちのマリの前で正座してお説教されてる感じです。


実際は横になってみんなに囲まれているのですけどね。引き合いに出されたダンお兄さんは、目を白黒させていますね。


「セラちゃん?」


あ、マリがちょっと怖いですね。


「ごめんなさい。次からは気を付けます」

「セラちゃん!全然反省してないでしょう!」


なぜ判ったし。いや、でもどちらの場合もあれ以外の行動を取れたとは思えないのだけどね。


「セラ、私達を心配して抗議してくれたんだろうけど、私達もセラが心配なの。もっと自分を大事にして欲しいな」


ミルお姉さんがマリの頭に手を置いて宥めながら諭してきます。


「あっ、はい。心配掛けてごめんなさい」

もっともな言い分に、みんなに小さく頭を下げながら謝ります。


遺跡に着いた次の日、一晩寝て意識が戻った私の元へみんなが集まってます。

ここは医療室と言うより体の変化をチェックする研究室みたいですね。

遺跡の中の急拵えなので、そんな感じはしませんけどね。


「姫さんが起きてくれて良かったよ。マリもネネもずっと泣いてたからな」

「べ、別にあたしは・・・」


ネネちゃんが口ごもり、マリは顔を赤くしていますね。


「マリもネネちゃんも、心配してくれてありがとう。」


全開の笑顔と共にお礼を言っておきます。

二人とも更に顔を赤くしています。

正解でしたかね。


判っているのか、苦笑気味に指を口の前に立ててみんなを見た後、ルイ兄さんは私にそっと聞いてきた。


「姫様、あれはどういう事だろう?姫様と気持ちが繋がっている感じがしていたけど。みんなも同じだと言ってたし。姫様は何か分かるのかい?」


私は身を起こし、そっと周囲を伺った。

子供とは言え7人も居れば部屋は一杯だ。兵士は外だろうか?


「大丈夫よ、兵士は隣の部屋にも居ないから」


いつの間にか入口に移動してたスゥお姉さんが外を見て、私の疑問に答えてくれます。


「あの台座はルイ兄さんが言ったとおり飛行石みたいですけど、もっと純度が高い結晶みたいな物だと思います。中の光る線で心が繋がったようですね。理由も目的もサッパリ判りませんが」

それでも私に判ることを話していきます。


「やはり分かることはほとんど無いし、出来ることも無いんだな」

ガッカリしたようにミルお姉さんがつぶやきます。


「それでも出来る事はある。台座に載せられたら、姫様と同じことが出来るか試してみよう。そうしたらもっと何か分かるかも知れない。それと、兵士達には逆らわない様にして欲しい。こっちは逆に姫様みたいに無謀な真似は止めてくれ。特にダンはね!」

「おっ、おうわかったよ」


さすがはルイ兄さん、見事にまとめましたが、私で落ちをつけますか。


「朝食後からあの台座にまた連れてかれます。休んでおいた方が良いでしょう」

「そうなの?セラちゃん」

「先程、お医者様のノルンハイム先生がそう言っていました」


朝の診察というか検査で色々と話をしましたが、あの兵隊達とは別の国の人で、国が占領された後知識を買われて引っ張ってこられたと言っていました。

どうもノルンハイム先生はただのお医者様では無さそうですね。

周りの敬い方が違います。

一方で兵士達は誰も敬うどころか、逆に監視している様ですけどね。


ノルンハイム先生を含めて研究者や技術者みたいな人達の中で、兵士や士官と親密に見える人は誰も居ませんね。

あの廃墟の街跡からすると、ここは占領地みたいな所なのでしょう。

そこで見つけた遺跡を調べているのでしょうが、何故私達を実験台にするのか?

先生達に話が聞けるでしょうか?












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ルイ兄さん、ここではリーダー役。主人公目線で話が進むので基本はセラがリーダー役。

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