第2話  『選択の時は来る。ふたつの大いなる宝が現れ、お前を惑わす。 だが手に入れるのは、その右手につかむものだけ』


【備忘録】大航海時代5 ラストダンス・・ブルネイ泊地編集する



グッディ・ハレット

今すぐに提燈の力を使うことも出来る。

でも、使うのなら、人の思いが残っている場所で

使うのが良いと思う


ニーナ

・・・人の思いが残っている場所・・・


ロッコ・アレムケル

最後に別れたのはブルネイの拠点だな。

そこで、あっしらとニーナの縁がいったん途切れてやす。


ニーナ

・・・ブルネイまで行きましょう

そこで(主人公)提督さん、ニーナさんをこの手に取り戻すんです。


グッディ・ハレット

・・・提督。

その時、ひとつだけ注意して。

揺れる思いは、あなたを囚える。

もし使うのであれば、余計なことは考えない・・・いいね?


ニーナ

・・・・それはつまり・・・


グッディ・ハレット

こっちの世界のニーナさんが消えることは忘れる。

向こうの世界で、ニーナさん以外の人と会っても動揺しない。

判断を間違えないで。あなたはニーナさんを、助けることだけを考えなさい・・・ね。


・・・・・・・


グッディ・ハレット

不安・・・。この人、絶対に揺れる・・・・


ニーナ

提督さん。そろそろ覚悟を決めてください!今、あなたが優先すべきは何ですか?

そんな調子では提督さんまで狭間に囚われてしまいます。それでは誰も救われませんよ。


ロッコ

はは、いわれちまいやしたね、提督。あっしもなかなか、踏ん切りがつかねぇのは

事実ですが・・・

今回ばかりは、ニーナの言う通りだ。旅の目的がブレちまっちゃあ、

そんな航海は失敗い終わっちまいやす。

さぁ、ブルネイ拠点に向かいやしょう。

そこでニーナを取り戻すんでさぁ!


(ーーーー同じ頃)


女性の声

来る・・・・・


女性の声

間違いありません。来ます。


ラモン

どうした、ニーナちゃん。何が来るってんだい?


ニーナ

リューグナーさん、感じませんか?


ラモン

・・・・・・これは・・・・?

誰から・・・・


ニーナ

私は感じます、

もうすぐ、あの人がここに来ます。


ニーナ

(主人公提督)さんが




木偶ニーナ

(主人公)さんの身体が・・・薄くなって?


ロッコ

提督、頼みやしたぜ!

ニーナの野郎を、連れて帰ってきてくだせぇ!


木偶ニーナ

お願いします!!


(意識が薄くなっていくと やがて暗闇の中に落ちていった・・・)



・・・・・・・・・・・


女性の声

・・・さん・・・・・。


女性の声

・・・・・ーーーーさん・・・・・。

起き・・・ください・・・・・


女性の声

起きてください。(主人公)さん!


(目の前には心配そうにのぞき込むニーナとラモンの顔があった)


ニーナ

ああ、よかった!!

やっと気が付いてくれました!



ニーナ

もし(主人公)さんがこのまま目覚めなかったらと思ったら、

私・・・・・私は・・・っ!


ラモン

あーー、ゴホン・・・

そういうことは、親のいない所でやってくれるかい。

そんな熱い抱擁を見せられると複雑な気分だ。


ニーナ

あわわ、こ、これは失礼しました!

会えた嬉しさと、目が覚めた嬉しさで、つい・・・!

・・・・・ん? 親・・・・?


ラモン

・・・・・・・。


・・・・・・・・


ラモン

初めまして。(主人公)の父親です。


ニーナ

ええええええええええええええええ!?

ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!

え? だって、名前はリューグナーって・・・


ラモン

ドイツのリューグナーです。


ニーナ

リューグナー・・・・リューグナー

ドイツ語のリューグナー・・・・・

・・・・・「嘘つき」?


ラモン

嘘つきラモンです。

今後とも、よろしく!


ニーナ

・・・・・だ、だ、だ・・・

だまされたぁ・・・・っ!!!


ラモン

それより、俺らを迎えに来たんだろ?


ニーナ

そ、そうです、そうです!

お待ちしていました。(主人公)さん!


ラモン

・・・・・・ああ、ずっと待っていたぜ。


ニーナ

そ、そうです!

私だけでなく、お父様も一緒に戻れば

旅の目的が一気に解決するんですよね!?

みんな一緒に帰りましょう!

そして、お爺ちゃんや協力してくれた皆さまにお会いしてお礼を・・・・


ラモン

それはできねぇんだなぁ、実は。


ニーナ

え?


ラモン

聞いているんだろ?

ここから出られるのは一人だ。


ニーナ

え・・・?

ど、どういう事ですか・・・?


ラモン

今回は、マゼランの時のように

自発的に出口が発生したわけじゃない。

無理矢理に、ここへの道をこじ明けたからなあ。


ニーナ

で、でも、一緒に帰れば・・・・


ラモン

『選択の時は来る。ふたつの大いなる宝が現れ、お前を惑わす。

だが手に入れるのは、その右手につかむものだけ』

・・・・・左手には、力が入らないんだろ?

そして手を繋がなければ、(歪みの)狭間からは出ることが出来ない。


ニーナ

そ・・・

そうなんですか?(主人公)さん!?



(主人公の左手は力なく垂れ下がったままだった)


ニーナ

・・・・・そんな!

じゃ、じゃあラモンさんが行くべきです。

だって、私たちの旅の始まりは、ラモンさんです!


あなたがいなければ、私たちは会えなかった!

それに私のせいで、お父様には、たくさん迷惑をかけました。


旅の出発点がお父様なら、終着点もまた、お父様であるべきです。

ラモンさん、あなたこそ・・・・


ラモン

(主人公の名前)!!


ニーナ

・・・・


ラモン

ぶれるなよ。

お前は何の為にここに来た?

ニーナちゃんを助けるため・・・だろう?

お姫様を助けに来た勇者が、おっさんを連れて帰る物語なんて誰が見てぇと思う?

当初の目的を見失うんじゃないぞ。


ニーナ

(主人公)さん


ラモン

さぁ、帰った、帰った。

俺の番は、また後で構わんぜ。


ニーナ

・・・・・・・・。


ラモン

(主人公)。

良い航海士になったな。俺も鼻が高ぇ。

ああ、そうだ、ニーナちゃんよ。

アムステルダムに行く事があったらメルカトルに元気でやっていると伝えてくれ。


ニーナ

ラモンさん


ラモン

さぁ、そんな顔をしないでくれ。

俺の知っているニーナちゃんは、いつだって笑顔だったじゃねぇか


ラモン

(主人公)よ。ニーナちゃんをよろしくな。親の俺から見ても、すごく良い子だ。

もう数年もすれば、すげぇ美女になるぜ。性格といい、俺の妻にそっくりだ。

つまりは、世界一の良い女って事だな。


(その時、提燈の火がゆらめき、世界が歪んでいく気配がする)


ニーナ

これ・・・・は?


ラモン

時間だ。・・・・名残惜しいが、ここまでのようだな。

さあ、行け。この世界はまた、閉ざされる。


ニーナ

ラモンさん!!


ラモン

皆によろしくな。


ニーナ

主人公さん!お父様が・・・ラモンさんが・・・!!


ラモン

俺のことは良い。たまに夢を見て、お前たちの航海を眺めさせてもらうよ。


ニーナ

・・・・・・・!!


(そして世界が、閉じる)


ニーナ

・・・やっぱり、こんなのダメです!!

(主人公)さん、ごめんなさい!!



・・・・・・!!


ラモン

お、おい・・・・っ!!



・・・・・


(そして、世界が広がる)


(旗艦甲板)


ロッコ・アレムケル

・・・・・・・・・・・・・。なるほど、状況は把握しやした。

向こうの世界で、そんなやり取りをして、ニーナの手をつかんで、こっちに戻ろうとして・・・

ニーナの奴が、最後の最後で、その手を振り払った、と・・・・

・・・・・・・・・・・。


ロッコ

そんでもって、ニーナの奴は‥‥提督さんの親父さんの手を、右手で掴んで、

仲良く三人、お手手繋いで還って来たと・・・と。


ニーナ

・・・・はい。


ラモン

主人公がニーナちゃんの左手を、ニーナちゃんの右手が、俺の手を、

こう掴んでな・・・数珠つなぎになって・・・


ロッコ

がっはっはっは!!

こりゃ傑作だ、滅茶苦茶だな!

これまでも滅茶苦茶だったが今回は極めつけだ!


ニーナ

そんなに笑うことないでしょ!?

褒めてくれて良いのよ!


ロッコ

褒めてんだよ! はっはっは、こんな愉快なことはねぇ!

そうか『掴めるのは右手だけ』か!


ラモン

何だか屁理屈と言うか、半ば反則っぽいが、確かに間違えちゃいないな。

文句があるなら、今後、改訂してもらおう。


ロッコ

まったくですな!規約の不備は、あちらさんの責任だ。今回はお目こぼし願いてぇぜ。


木偶ニーナ

ニーナさん。あの、初めまして・・・で、良いのかしら?


真ニーナ

あ・・・・・。


木偶ニーナ

こちらをどうぞ。・・・・この服はニーナさんにこそお似合いです。


(もう一人のニーナが

 ニーナに赤いコートをかける)


ニーナ

・・・・・ど、どうですか?


(中略)

ニーナ

副官ニーナ 帰還しました。


ロッコ

さぁ、宴会だ!!

うちらの副官が帰って来たぞ!


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