第6話 犬神様との午後

犬神様はTVが好きだった。


「……」

ラジオ代わりにTVをつけてるとずっとそれを見てる。


「分かるのかねえ」

ふと不思議に思ってそう言ってみた。


「……」

しかし犬神様はTVに熱中しているのか反応はなかった。


「…犬でも神様でもTVなんか面白くなさそうなのに」

私はそう思ったがまあ別にいいや。


ただどうも好みの番組があるらしく、それが終わるとジタバタする。


「そこらへんはまだまだ子犬じゃの」

3時くらいになると少しサボって一緒に遊んでたりして。


フレックス制を逆用して5時に仕事を終わらすと夜の散歩である。


「わんわん」

さて本日のシメだと言わんばかりに犬神様はくるくる回る。


「走るなよー」

私はそう言うが夜は結構走る犬神様であった。


「はーしーるーなー」

犬神様は車が通らないような所だと結構ダッシュするのだ。


「はあ、はあ」

そして大通りに出ると大人しくなる。


「あーおう」

犬神様は不思議そうに首を傾げる。まだまだ運動不足だと言わんばかりだ。


「父ちゃんや爺ちゃんと同じ水準を期待されたら困るぞ」

犬神様の頭を撫でながらそう言った。

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