第9話 ~病~

僕は野良だ


好きに出歩く

好きに迷う


野良だからって

いつも元気なわけじゃない


僕はよく疲れるし

具合も悪くなるんだ

生きるのに必死だから


そんな時はどうしても

主様の所へ行きたくなる

助けてもらった時を

思い出してしまうからね


なんとか手土産を獲って

主様の所へ行く

手土産を渡したら

少し鳴いて知らせる


主様は理解力が半端ない

すぐに解ってくれるから

余計な事は言わないんだ


僕が寝ていても

そっとしておいてくれる


でも僕は起きちゃって

主様にちょっかいをかける

そんな時間が

とても楽しかったりするんだ


主様ー、僕、とっても具合悪い

「しらねぇよ」


主様の傍で声を聞きたいよ

「ああ、居ていいよ」


僕、寝ちゃうね?いい?

「おう、ゆっくり寝な」


主様主様、やっぱり構ってよー

「なんでだよw」


僕と主様は言葉が違うけど

言いたいことが分かるみたい

優しくはしてくれないけど

貶し言葉で

労わってくれるんだ


嬉しいな

嬉しいな


僕は主様が大好きだから

主様の声で安心するから


自分で見守るって決めたのに

どうしても甘えたくなっちゃう


手土産をもっていくから

少しだけ

甘えさせてね


僕は黒猫だ


主様の好きなものは知ってるから

ちゃんと幸福を運ばせてね


大好きな主様は

甘えさせてはくれない

でも居させてはくれる

それで丁度いいんだ

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