第2話 ~影~

僕は野良だ


好き勝手に過ごす

好き勝手に生きる


主様はいるけどね


僕が勝手に認めた

大好きな 主様


最初はみんな僕を可愛がる

でも汚い野良猫だから

次第に疎ましくなるみたい


主様は意地悪だけど

僕を邪険にはしなかった

少しだけ庇ってもくれた

たまに撫でてもくれた


僕は所詮 猫だけど

そんな主様に尽くしたよ

僕は愛されたかったから

いつも幸福を持っていった


主様はそんな僕を

喜んでくれていた

うるさく擦り寄っても

追い払わなかった


でも周りの人間達は

そんなこと知らないから

僕を敵視する

心の声が聞こえる


「なんであいつだけ」

「独り占めしたいの?」

「不細工のくせに」

「邪魔なんだけど」


僕は何を言われてもいいけどさ

そんな僕が傍にいる主様は

周りの人間達から、一体

どう思われているんだろう


だから僕は主様が

皆に好かれる方を選んだ


主様がもっと幸せになれる方法を

僕が居たらきっと逃してしまう


僕は野良を貫くよ

主様の声が明るくなって

僕は安心したよ

楽しそうで嬉しいよ


遠くから声を聞かせてね

聞かない日もちゃんと作るね

たまに主様に擦り寄りたくなったら

その分の幸福を手土産にするね


僕のことは影だと思ってね


一緒にいても

邪魔にはならないでしょ?


僕は黒猫だ


黒く隠れて影になるから

邪魔はしないから


大好きな主様


本当はずっと

傍に居たいよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る