約束 ①

ベル様と一緒に本を読み始めてしばらく。

ベル様が聞かせてくれるお話はどれも面白くて、すごく楽しい。最初はまだ少し怖かったけど、もう怖くはないし、逆に一緒にいて心地いい。


「そろそろ夕食の時間だろう?もうやめておこうか。」


そんな心地いい空間の中でベル様に言われた言葉。時計を見るとあと少しで夕食の時間だ。

もう食堂へ行った方がいいのだろうけど、もっとベル様と話していたくて、素直に本を片付けることができない。


「もしかして、まだ話し足りないのか?」


ベル様に聞かれて頷くと、頭を撫でられる。


「じゃあ、俺のことは様付けじゃなくて、呼び捨てかさん付けにしてくれ。そしたらまた今度、ルーク君に話に来る。」


「わ、わかりました。ベルさん。やくそく、です。ぜったいやぶっちゃだめですよ。」


言ったことを撤回して欲しくなくて、すぐに呼び方を変えて一気にまくし立てる。こんなに急いで話したのは初めてかもしれない。


「ああ。安心しろ。約束はちゃんと守るから。ほら、食堂に行くぞ。」


ベルさんに促されて本を片付ける。ベルさんは夕食を食べた後に帰るらしい。少しでも長く近くにいたくて、食堂までは手を繋いでもらった。食事中は隣に座り、結局、さよならするギリギリまでずっと離れなかった。

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