犯罪者たち

応接室を出て書庫へ向かう。書庫は落ち着く。物語の世界に浸っていれば、現実を忘れられるから。今日もまた、手当り次第に本を探し読書を始める。







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side アラステア



「それで?犯罪者達の処遇はどうなったんですか?」


ルクライア君が出ていき、足音も聞こえなくなったところで伯父上が話し出す。

ルクライア君の様子も気になるが、伯父上相手に強行はできない。ルクライア君に会いに行くことは控えた方がいいだろう。大人しく伝言を伝える。


「父上曰く、死にたいと願うほどの生活をさせるそうです。睡眠時間は4時間。加えて強制労働とその手のプロによる拷問。それから、王族お抱えの研究室の実験を手伝ってもらう、と。」


父上が犯罪者に与えた罰は、被害者と同じ生活をさせることだった。被害者が受けた苦痛を加害者にも。全く反省した様子を見せない彼らにはいい罰になるだろう。


「そうですか。ですがそれでは、ノマライトよりも重くなるのでは?首謀者は彼でしょう?」


伯父上の言うことも尤もだ。アイツらが我が身可愛さで全てを話したお陰でノマライトの罪状も大分増えている。


「ノマライトには、更に刑罰を追加する予定です。未だ反省してはいないようですし。」


「なら、問題ないですね。用件がそれだけなら、私はもうルークのところへ行きますが。」


そう言って伯父上は立ち上がろうとする。ルクライア君が心配なのは分かるが流石に酷いと思う。それに、用件はまだある。


「申し訳ありませんが、まだあります。」


引き止めるように言うと、不服そうな顔をしながらも席についてくれる。


「話は聞きましょう。ですが、ルークは放っておくとすぐに自分を蔑ろにしてしまう子です。今のあの子を1人にしておく訳にはいけません。という訳でエイベル、ルークに付いててあげてください。」


「、!…分かりました。」


唐突なお願いにエイベルは驚いたように目を見開く。正直凄く羨ましい。まあでも、コミュ力の高いエイベルなら彼も心を開いてくれるかもしれない。今はエイベルに任すことにしよう。

そう考えながら、エイベルが出ていくのを見送った。

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