ヴィー兄様と…… ④みんなのお仕事

「………、………ク、ルーク!」


ヴィー兄様に名前を呼ばれて、ビクッとしながら顔をあげる。ヴィー兄様の隣には騎士さんがいた。


「もうお昼過ぎだから食堂に行こっか。」


僕が頷くと手を繋いでくれて、一緒に食堂へ向かった。




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昼食を食べ終わって、ヴィー兄様と僕のお部屋へ向かう。過呼吸を起こした後、僕のお部屋はヴィー兄様とアル兄様に挟まれているところになった。何故僕のお部屋に向かっているかというと、お話をするためだ。ヴィー兄様にはもう一度書庫に行くか聞かれたけど、せっかく一緒にいるんだし、2人でお話がしたかった。


お部屋に着き、2人でベットに座る。


「お話って、何するの?」


「みんな、のこと、知り、たい。ダメ?」


僕が聞くと、ヴィー兄様が優しく頭を撫でてくれる。


「ダメじゃないよ。むしろ嬉しい。じゃあまず、みんなの仕事から話そうかな。」


「おし、ごと?」


「うん。お父様は公爵家当主で王宮勤めの文官長をやってるんだよ。国王陛下の側近で、宰相様と同じくらいの権力を持ってる。仕事内容は、資料の整理とか、犯罪者を捕まえる事とか、かな。」


「お父、様、凄い。」


想像以上に凄い役職だし、仕事量も多くてびっくりした。


「ふふ。驚くのはまだ早いかも?お母様は主に平民に対しての仕事をしてるよ。孤児院を訪問して、炊き出しや寄付をしたり、なるべく争いごとが起きないように決まりを考えて進言したり、少しでもみんなが楽しく暮らせるようにしているんだよ。」


「優、しい?」


「そうだね。でも、怒る時は物凄く怖いよ。ルークもきをつけてね。」


そんなこと言われると、気が気じゃない。怒らせないように気をつけないと!


「次は僕かな。僕は僕と同い年の第1王子の側近で、王宮魔道士団の隊長をしているよ。貴族社会ではまだまだ若輩者だからそこまで凄くはないんだけどね。」


「たい、ちょう?」


「ああ、隊長っていうのは、まだ位を貰っていない人達の中のリーダーの事だよ。20歳になったら王宮主催の大会があって、そこで位を貰うの。ちなみに、位を貰った人のリーダーは団長。王宮魔道士団のトップは、この団長だよ。」


なんか実感湧かないけど、ヴィー兄様が強いってことは分かった。


「アルはアルと同い年の第2王子の側近で、王宮近衛兵師団の副隊長だよ。ちなみに隊長は、僕と同じ第1王子の側近だよ。」


ヴィー兄様だけじゃなくてアル兄様も強かった。薄々思ってたけど、僕、凄いところの息子になってしまった。


「マリアはアンジェと同い年の第1王女の教育係。マリアは研究者だから、知識が幅広いんだよ。」


もう、レベルが高すぎてヤバいとしか言いようがない。


「アンジェは香水とか、アクセサリーとかを作ってるよ。他国からも人気で輸出されてるんだよ。

これで全員紹介し終わったけど、質問ある?」


「位、なに?」


「位は鉄、銅、銀、金、白銀の5段階。鉄級が一般で近衛兵になるには実力が足りないから、王宮じゃなくて、街の守護が仕事。銅級は低級の魔物討伐が任せられるレベル。これも近衛兵にはなれないから門番になったり、冒険者ギルドに入れられたり、かな。銀級はギリギリ王宮を守れるレベル。王宮の門番とか上級の魔物討伐とかしてるよ。金級は王宮内の警備が仕事。臨機応変に対応できて、頭も硬すぎないことが重要。白銀級は国内でも極わずかなだよ。災害級の魔物を1人で討伐できるレベル。国王陛下を直接守護してる。」


「王宮、勤め、られ、なくて、恨ま、れる?」


「そんな事ないよ。みんな基本的に前向きだから。王宮勤め候補になると、ちゃんとした知識を得られるから、それ目的の人も多いしね。位を貰っても指示された仕事を受け持つかは自分で決められるから。副業としてやってる人もいるよ。」


この国の王様は思ったより優しい人みたい。もっと厳格で、怖い人なんだと思ってた。

こうして、ヴィー兄様とお話している間にあっという間に夜は更けていった。

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