短編いろいろ
アチャレッド
第1話 オバケ桜
僕の街には変な噂がある。
『毎晩0時になると裏山に咲く不思議な桜の木、オバケ桜。あの桜はあの世の植物で、一度目にするとあの世に引きずり込まれてしまう。』
そのせいか僕の街では大人でも深夜に山には入らない。
実際に近所の山下さんの家の長男は行方知らずになってしまったらしい。
大人はみんな「オバケ桜のせいだ。」と噂するけど僕は知っている。
山下さんの家の長男は受験に失敗して夜逃げしただけなんだ。
だからきっとオバケ桜には別の何かがあるはずだ。
それを大人たちが独り占めしているにきまってる。
だから僕は決めた。
今夜0時過ぎに裏山に行ってオバケ桜の真実を暴いてみせる。
僕は誰にも言わずに密かに誓った。
0時過ぎ。家族が寝静まったのを確認して僕は裏山に向かった。
裏山のオバケ桜にはきっと沢山のお金が隠されているんだ。
僕は心躍らせて山に入った。
山に入って僕は直ぐに噂の意味を悟った。
オバケ桜の放つその異様な美しさに。
「そうか!連れて行かれるんじゃない!きっとこの美しさに目を奪われて帰れなくなるんだ!」
僕は目を離さずにオバケ桜を見続けた。
青白い、しかし輝いて見えて、月明かりが焼き付いた様な美しさ。
ボクは見続けた。
心を奪われる程の美しい桜を。
ボクは見続けタ。ボクはミツヅケた。
時間を忘れてしまう程の、永い時間ーーー……。
私の街には変な噂がある。
『毎晩0時になると裏山に咲く不思議な桜の木、オバケ桜。あの桜はあの世の植物で、一度目にするとあの世に引きずり込まれてしまう。』
近所の岡本くんもオバケ桜に連れて行かれてしまったらしい。
けどきっとそれは嘘で何か特別なモノが隠されているに違いない。
だから私は今夜、オバケ桜を見に行こうと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます