第40話 猫貴族、王宮へお呼ばれする


「そんなの冒険者が手の内を明かすわけないじゃないですか」


ベルガーから魔力溜まりの処理の方法を聞かれたがこう答えてなんとか納得してもらった。

ただ、すぐに信用出来る冒険者を派遣して確認は取るとは言っていたが。







そして今は何故か王宮の一室クリスの部屋でニヤニヤした爺さん陛下と対峙している。


こうなったきっかけは学園での出来事に遡る。

ギルマスへの報告を終えた次の日にいつも通り学園に行き、いつも通り帰宅しようとした時だった。


「ルーク!今日空いてるかな?空いてるよね?ちょっと僕の部屋に来てくれない?」


一応質問調ではあるが、拒否権のないような強引な誘いにより、僕はクリスの馬車へ乗せられドナドナされてしまったのだ。


「ここが僕の部屋だよ。どうしたの?変な顔して?」


なんともないようにクリスは言っているが、部屋のソファーに見たことのある爺さんが一人…。

どう見ても陛下に見えるんですが…。


「えぇっと陛下ですよね?」


困惑しながらもなんとか声を吐き出すと


「ハーハッハッハッ。儂は只のクリスの祖父のメイソンじゃ。さっさと座れ、ルークよ。」


「し、失礼します」


言われるがままにメイソン様の前に座るが、クリスは悪戯が成功したのが嬉しいのかニヤニヤしている。


「クリスもそう揶揄うな。今日はルークと話したいことがあってこうしてクリスの友として来てもらった。それは何故かわかるじゃろう?」


「魔力溜まりの件ですね。人前で話せない話題のためこうして内密に話す場を整えて頂いたと?」


「半分正解じゃな。儂にはもう一つ要件がある。まぁまずは魔力溜まりについて聞こうかの」


昨日ギルマスへの説明と同様に順を追って陛下にへ説明していく。

横で聞いているクリスは途中から顔を蒼くしているが、陛下は相変わらず余裕のある笑みを浮かべている。


「ルークの推測通り人為的なものじゃろうな。他にも知っておることがあるじゃろう?」


陛下が確信を持った顔でこちらへ問いかけてくるが、漆黒魔法について話すには時期尚早とロッソ家とネーロ家で結論は出ているのでなんとか誤魔化そうとする


「いえ、これ以上は何も…」


「フッ、そう隠そうとせんでもよい。こう言ったらわかるかのぅ?闇の契約者よ」


「……ッッ、な、なぜそれを?」


「初めて顔を見た時から気付いておったよ。クリスこれから話すことはたとえお前の兄弟であっても話してはならぬぞ。話してよいのは儂、お前の父親であるロドルフォ、そしてルークのみじゃ」


クリスはこの命に賭けてもなんて物騒なことを言いながら首をブンブン縦に振ってる


「ルーク達が隠そうとしているのも承知しておるが、王家に味方がおった方がよいじゃろう。その点クリスは同い年で優秀と非常に都合がよい。事情を知っておった方が力となれるじゃろうと思ってこの場で話すことにした。だから許せよルーク。」


「クリスならこちらも問題ありませんが…」


「なら話を進めるとするかの。儂が何故ルークが闇の契約者だとわかったかじゃが………儂も同類じゃからじゃよ」


「「……は?」」


「ハーハッハッハッ。揃いも揃って面白い顔をしよるのぉ。ルークにはこう言った方がわかりやすいかの?」


これまで楽しそうにしていた陛下が真顔で告げる


「儂は光の契約者じゃ」


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