第5話 幼女だ、幼女に会ったぞ!
ゾンビは進む~よ。何処にい~く。自分でもわからな~い、ど~こにい~く?
森しかねぇ、川もねぇ、猛獣ゴロゴロ出てきやがる。隣にいるのは愛想のねぇ、スライムだけだー。まぁ、俺が日光の前に出て行けないのが原因なんだがな?
そう言えば、面白い物が見れるようになった。
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名前:
称号:異世界転生者 森の狩人 悪知恵師 呑み師 変態ゾンビ
HP:400/400
MP:200/200
SP:1000/1000
コモンスキル
剣技(Lv4) 狩猟(Lv5) 飼育(Lv2) 痛覚無効(Lv2) 再生(Lv3) 悪知恵(Lv2) 歩行(Lv Max) 走行(Lv Max) 投擲(Lv3)
固有スキル
吸収捕食(Lv7) 身体操作(Lv Max) サポート(Start-up) 風■■神(■■r■■)
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名前がねぇや。誰かつけてくんねぇかな? そういや魔力なんてあるんだなぁ、ゾンビにスライムがいる時点で不思議はねぇんだがな。
俺も魔法が使えんのかなぁ? 楽しみだぜ。そうだ、サザナミも見てやるよ。
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名前:
称号:異世界転生者 同行者 雑食 悪食
HP:100/100
MP:80/80
SP:500/500
コモンスキル
捕食(Lv4)
固有スキル
吸収捕食(Lv9) 擬態(Lv1) 大辞典(Lv5)
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お、おお、俺よりスキルが強そう。というか、周りの事見えてたのね。こいつの前で裸踊りしてたけど全部見られてたかと思うとハズゥっ………! お前も転生者なんだなぁ。にしても、この名前、何処かで見たような。俺の名前は、これか。言われてみれば見覚えが、……………………んー、…………あっ! 思い出した! おれ、死んだんだ。
❖ ❖ ❖
よくよく考えてみると、俺は死んでいた。それもこことは別の世界で。何というか不幸な事故だったのかもしれない。最後の景色は教室に突っ込んでくる燃え盛る巨大な岩の姿だった。
隕石が突っ込んできたのか? ははは、んな、バカな。まぁ、前世の死因の原因を考えてもしょうがない。取りあえず、前世の死因と名前を思い出せた。大きな進歩だぜ。
そうなると、サザナミは何なんだ? 雪波、雪波、…………そう言えば、ダチの一人が噂してたな学校一の美少女の噂。クールビューティーとか、何とか言ってたな。で、その慣れの果てが、これか、憐れだなぁ。
グフッ! な、殴られた、笑ってたのが分かったんだろうか? ゴハッ! ごめん、もう言わないから、許してぇ! グっ! がっ! ごっ! 痛くはねぇんだけど、中々手強い。
「ト、マレェ!」
おっ、止まった。いう事は聞いてくれるようだ。話さなければならないのが辛い所だが。命令には絶対順守らしい。便利だな、ヒトのままなら、もっといい事できそうだったんだがな。
「残念ダ」
おっと、本音がつい。…………なんか軽蔑の視線を感じる、いや、視線の出所から目はないんだけどな。
んっ、遠くで何かが聞こえるなぁ。それもこっちに向かってる。行くぞ、サザナミ!
❖ ❖ ❖
「はぁ、はぁっ、はぁ、はぁ」
「待て、お前に逃げ場はないぞ!」
「くっぅ! 私たちが何をしたって、言うの…………」
一人の女性を男達が集団で追い掛ける。ボロボロな衣装の女性に対して、それを追う男達は目立つ白装束で、かっちりとした雰囲気を感じる。
白装束の一人がブツブツと何かを唱えると、掌から野球ボール大の火の玉が現れ、それが女性に向けて射出される。女性は人間とは思えない程の身体能力でそれを躱して木々の上に上り、木々を伝って男達から逃げていく。
「悪魔の女だ! 絶対に逃がすなぁっ!」
逃げる女を男達は執拗に追いかける。何が悪魔なのかは分からないが、少なくともどっちが悪いかは一見では判断できない。
「取っーー」
切り掛かった男の言葉は横から出てきた巨大な肉塊にさえぎられる。そのまま殴られた衝撃でバラバラになって吹き飛ぶ。巨大な肉塊は発射の方向に戻り、元の大きさに戻る。
白服の男達は肉塊が出てきた方を見ると一人の人間が立っていた。いや、人間ではないのはさっきの攻撃から分かる。雑納を二つ引っ提げて、ボロボロの厚着に顔が見えない様にしている覆面、正体どころか素肌すら見えないその姿に不気味なモノを見る目をする。先ほどの攻撃で話し合いに応じる相手ではないと判断し、敵を目の前の相手に変更して剣を構える。
❖ ❖ ❖
女性を助けたら、変な奴等に敵意を向けられた。まぁ、理由はわかる。先ほど殴り飛ばした奴の仇だろう。あれはすまなかった、つい盗賊と同じ様に殴ってしまったんだ。状況的に似たようなものだし大丈夫だろ。よし、殲滅開始。
「かかれーー!!」
相手側も合図して同時に切り掛かるが、こっちも容赦はしない。瞬間的に肉体の肥大化を発動させてメガトン級のパンチをぶつける。巨大鉄球を弾丸の速度でぶつけているようなものだ、一撃で半数の白服の男達を殲滅した。
「ひっ」
流石に恐怖を覚えたのだろう。白服は全員が怯えている。姿は人だがやる事は人間ではないんだから当然っちゃ当然だが。
まぁ、いい、逃げるようなら飛び道具だ。いけ、サザナミ! 顔にくっついて窒息させろ!
「うわっ! くっついた!」
戸惑う奴等は俺が倒す。腕を伸ばすと同時に鞭のようにしならせて広範囲に上下に分断する。
一先ず、これで戦闘は終了。指を触手にして敵だった者に突き刺し吸収する。損傷はデカいが、部分部分では使える所はある。損傷の回復にも、肥大化にも使える。
おや、助けた女性は? サザナミ、知らない? …………知らなそうだね。まぁ、足跡を辿れば簡単に追いつく、行くぞ、サザナミ。
❖ ❖ ❖
(何、何何何、なんなに何何ナンナニ何何何何何!!)
逃げる女性の頭にあるのは疑問だけだった。凄まじい化け物が自分達の敵を殲滅してくれたが、敵か味方か分からない。少なくとも、人間じゃないなら自分に味方してくれるのかもわからない。だから、今は逃げるしかない。
しかし、後ろから森を破壊して何か大きな音が聞こえる。恐怖で後ろを向きたくなるが、もう直ぐ日が昇る筈、それまでに森を抜ければ安全な領域にも入れる。足の回転数を上げて全力で後ろから来る存在から逃げる。
「………スコシ、イイデスカ」
謎の存在に前に出られる。戦っても勝ち目はない、身をかがめて足元から逃げる。全力で逃走をする。こいつには勝てない。
❖ ❖ ❖
優しく声を掛けたんだが、逃げられた。マズいな、体感的に朝になる時間帯であっちは開けていた場所だ。初めて話が通じそうな人間なんだ、是が非でも逃す意味はない。
サザナミを縄の様に伸ばして、投げる!
「くっ!」
足を掴まれて切り落とそうとしてんのか、キマってんな。切り落とそうとした刃物を剣で弾いてやる。余計な事はしない様に両腕を抑える。
すると、彼女の抱えていた何かが宙を舞う。落とすのも悪いので、複製した腕で抱える。やれることがゾンビのそれではないが気にしない。
「かっ、返せ!」
抑え込まれて身動き取れない女性が声を上げる。危害を加える気はないので会話を試みる。
「質問ヲイイカ?」
「っ! 何で喋れる?」
「知ラネ」
俺が喋れることを疑問に思ったのか質問してくる女性。そう言えば、フードが外れてる。と思ったら、頭に角が生えている。金色の髪に整った顔がよく映える。こういう時はステータス鑑定。
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名前:シューリカ=ミーノリア 種族:魔族 状態:疲労 Lv19
称号:隠密騎士 狙われた者 庇護者 逃亡者
HP:57/60
MP:12/90
SP:21/100
コモンスキル
剣技(Lv4) 移動(Lv2) 隠密(Lv6) 投擲(Lv3)
固有スキル
なし
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どうやら襲っている相手は騎士らしい。ファンタジーなら、貴族と関係しているのが騎士だが、称号から自分の主から逃げているのかもしれない。そういや何を持っていたんだ? 複製した腕を近づけて、持ったものを確認する。
「オギャァァァ!」
赤ん坊だ、女性の子だろうか? 白服の男達に狙われた理由もこれなのだろうか?それは良いとして、股にある筈の感触がない。ということは、異世界で初めて幼女に会ったぞぉ!
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