最終話 TRUE END


「良いゲームだった……」

俺は感動して泣いていた。なんて素晴らしいゲームだろう。

少女は死んだが、幸せになったのだ。

お母さんとも、お父さんとも出会えて。

地獄に一緒に行った。

なんて良いゲームだろう。

これ以上に素晴らしいゲームを、俺は見たことがなかった。


俺がこのゲームを始めたのは、このゲームを作った人が自身のブログで言った言葉が気になったからだ。

「絶対にTRUE ENDを迎えてはならないゲーム」

と言っていた。

最後に映し出された、『TRUE END』という文字も、血文字で不気味だったし……なぜだ?


そのとき、だった。

カタ、と後ろで音がした。

1人暮らしの俺の家に、誰か、いる……?

おそるおそる後ろを見ると、『まだ』真っ白なパーカーを着た、ショートカットでくりくりした目の愛らしい少女が立っていた。

必死に泣かないようにしていて、悲しそうに苦しそうにしていて……。

左手に、ナイフを持っていた。


う、嘘だろ……どういうことだ……


俺は、ハッとした。


TRUE ENDを迎えてはならない理由、血文字で映し出された文字、ゲームで最初の被害者の名前の部分にプレイヤー自身の本名を入力させた理由―――――。


全部、全部つながる答えが、ひとつだけある。



―――――ッ、まさか……!



あたりに鮮血が飛び散った。

少女のパーカーが、真っ赤に染まる。

「……ごめんなさい……」

本当に、あのゲームが、現実になってしまったというのか……

視界が、闇に包まれていく。

少女の顔が目に映る。

パーカーのフードをおろした少女の髪は、綺麗な金髪だった。




ここからが、本当の話。

きっかけは、たったひとつのゲーム。


【小さな殺し屋さん】の、悲劇の開幕である――――――

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小さな殺し屋さん ねむねむ @nemu2

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