第3話「サガンパーV作戦始動」①

※場所は佐賀県武雄市朝日町たけおしあさひちょうエスカンパニー内。第2話「忙しなく過ぎ去る日々…」⑩の後日11月21日。時間は11時頃(※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。★は出来ればお願い項目。傍点は佐賀弁。


エスカンパニー事務所内に楽しそうな表情で"ゆう"が入ってくる。デスクワークしている"志織しおり"と"叶恵かなえ">


ゆう:「やったー!」


志織しおり:「社長、何をそんなに大喜びされているんですか?」


叶恵かなえ:「先輩…。それは勿論、あれですよ…。」


志織しおり:「あ、あれって…。(※しばらく間を空ける)ああああ…!もしかして!」


叶恵かなえ:「(※呆れた声で)先輩、例の"ブイ作戦"ですよ!」


ゆう:「(※非常に興奮して楽しそうに)ヒャッホー!これで今日からは私は"自動車商"!」


志織しおり:「(※余り喜べない感じで)よ、良かったですね…。社長…。」


ゆう:「(※しみじみと)そう!この認可を取るのにどれだけ"警察署"に通ったか…!」


志織しおり:「でも、"自動車販売"って、免許が必要だったんですね!」


<"自動車商"と書かれたプレートを"志織しおり"と"叶恵かなえ"に自慢げに見せる"ゆう">


ゆう:「そうよ!"警察署"から発行してもらったプレートには"自動車商"と明記されているけど、詳しく言えば"古物商販売こぶつしょうはんばい許可免許きょかめんきょ"!でも、中古品なら何でも販売できる訳ではないのよ!」


志織しおり:「そうなんですか!」


ゆう:「販売する項目が細かく細分されているのよ!"古物商販売こぶつしょうはんばい許可免許きょかめんきょ"と一括りになってるけど、"販売できるもの"と"出来ない物"があるの…。特に"自動車"とか"バイク"とかは特殊ね!"質屋"さんとか"リサイクルショップ"を見て!車やバイクは売っていないでしょう?車屋さんとバイク屋さんも同じく…。美術品や古着とかを取り扱っているところはないわよね?」


志織しおり:「た、確かに…ですね…。そう言われれば…。」


ゆう:「簡単に"古物商販売こぶつしょうはんばい許可免許きょかめんきょ"と言っても、各警察署から何故、その商品を販売するのか理由を求められてるから…。余程な理由がない限り"何でも売れる"って訳ではないの…。車とバイクの販売になると何故、それを販売するのかという"大義名分たいぎめいぶん"が必要になってくる…。」


志織しおり:「(※困惑しながら)そんな"大義名分たいぎめいぶん"があるんですか…。」


憂:「(※自信満々に)あります!"大義名分たいぎめいぶん"はあります!そして、Sカンパニーはキャラクター商品の会社だから…。それこそ、ほぼ"すべての古物物販の販売"ができるようになりました♪(※拍手の音パチパチパチ)」


叶恵かなえ:「い、意味が分からないんですけど…。」


ゆう:「"叶恵かなえ"…。まだ、この"業界"の事を知らないから、姉さんが手に入れたこの"プレート"の価値が分からないのね!今、世界中、あるゆる商品にキャラクターはついている…。玩具は勿論の事!書籍、家具、家電、"コスプレ用"の衣装などの衣類全般、キャラで装飾された貴金属などのアクセサリー、美術品として扱われている"アニメの原画"ほかetc…。車やバイクであれば"痛車いたしゃ"と"いたバイク"!あらゆるものが"痛化いたか"されているこの時代…。それを生業なりわいとしているエスカンパニーで取り扱えない物はない…(※ボソッと小声で)金券きんけん以外は…。」


志織しおり:「最後、何か小声になってませんでした!」


ゆう:「(※誤魔化しながら)まあ…兎に角、"ブイ作戦"が始まるのよ!」


志織しおり:「で、その"ブイ作戦"は、社長の大好きなロボットのアニメの“V作戦”何が違うんですか?私、繋がりが分かりません…。」


ゆう:「そうね…。免許が取れたら詳しく話をする約束だったもんね!(※自慢げに)この“"ブイ作戦"とは…。」


志織しおり:「とは…。」


ゆう:「ま、まあ…、"某ロボットアニメ"の作戦の名前の意味も少しはあるけど…」


叶恵かなえ:「やっぱり、あるんだ…。」


ゆう:「(※コホンと軽い咳込みをする)令和元年8月の水害により壊滅的な被害を受けたエスカンパニーをV字ぶいじ回復させるという意味のV。そして、VICTORYヴィクトリー!"勝利する"という意味を込めた"新事業"という意味を込めた作戦だから"ブイ作戦"と言ってるの!」


叶恵かなえ:「姉さん、"ブイ作戦"という意味は分かったから、結局、車とバイクの"販売免許"を取って何をするつもり!」


志織しおり:「か、"叶恵かなえ"ちゃん…。や、やっぱり…社長のことだから…"痛車いたしゃ"と"いたバイク"の販売をするんじゃないの…。」


ゆう:「ブブ~!でも、"痛車いたしゃ"にするも良いわね!"志織しおり"ちゃんのそのアイデアいただいちゃう♪でも正解じゃありませ~ん!」


志織しおり:「ち、違うんですか?」


ゆう:「違うわよ!そう、新しく始める新事業とは…。」


叶恵かなえ:「いい加減にもういんじゃあないんですか…。」


ゆう:「"叶恵かなえ"は、もう少し子供心を持った方が良いわよ♪(※ふてくされながら)あなたと比べて、"珠花しゅか"は何でも驚いてくれるのに…。」


叶恵かなえ:「"珠花しゅか"は特別なんです!(※しばらく間を空ける)そうですよね?"志織しおり"先輩?」


志織しおり:「そうね…"珠花しゅか"ちゃんは"純粋な子供みたい"な性格だから…。」


ゆう:「とりあえず、私は"今回の被災"でどうしても家業を続けられなくなって長年続けてきたお店を辞めた方や、今でもお店を再開する準備をしている商売人仲間たちの姿を見たり話を沢山聞いたわ…。それに蒼羽あおばくんが店長をしている"前線カフェ"がある門前商店もんぜんしょうてんがいもだけど…佐賀県内の商店街はシャッターが閉められているところばかり…(※しばらく間を空ける)それを見て、何か心の中に"モヤモヤ"するものがあったの!」


志織しおり:「その"モヤモヤ"って、一体なんだったんですか?それと、この"ブイ作戦"は関係あるんですか?」


ゆう:「関係ある!」


叶恵かなえ:「あ、あるんだ…。」


ゆう:「エスカンパニーも我が家も今は何とか普通に生活できるまでにはなった…。でも豪雨被災から3か月弱…。まだ、仮設住宅に住んでいる人や、スーパーもコンビニも閉まっているから、移動できずに困っている人たちも沢山いる。だから、もし、次に何か起きるのを想定して、私たちで"キッチンカー"と"キャンピングカー"を作るの!それが、"ブイ作戦"よ!そして、"キッチンカー"と"キャンピングカー"の輪を佐賀県内に広めるのよ!お客様が来ないなら自分で動く!来れないなら自分で来る!移動できる家を作る!その為の新事業!この"自動車商"の販売免許でようやく、そのスタートラインに立てたって訳!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る