第2話「忙しなく過ぎ去る日々…」⑩

※場所は佐賀県武雄市朝日町たけおしあさひちょうエスカンパニー内。第2話「忙しなく過ぎ去る日々…」⑨の後日11月7日。時間は14時頃(※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。★は出来ればお願い項目。傍点は佐賀弁。


志織しおり:「しゃ、社長…。また、武雄警察署たけおけいさつしょから…お電話が…。」


ゆう:「遂にこの日が来たのね!」


志織しおり:「ま、まさか!例の"立ち入り調査"ですか?」


ゆう:「間違いないわね!"志織しおり"ちゃん、電話を!」


志織しおり:「はい…。」


ゆう:「もしもし、お電話代わりました。はい。私が"緒妻 憂おつま ゆう"です。(※しばらく間を空ける)はい…今からですか?」


<"ゆう"、さっと辺りを見渡す…>


ゆう:「大丈夫です。お待ちしております。あ、何かこちらで用意するものはありますか?はい、分かりました。お待ちしております。」


志織しおり:「社長、どうでしたか?」


ゆう:「今から、警察の方が"立ち入り調査"に来るんだって…。まあ、普段通りに構えていれば問題ないわよ!ちょっと、書類を探すから、警察の人が来るまで、"志織しおり"ちゃんか"叶恵かなえ"のどちらか駐車場で待っててもらって良い。」


志織しおり:「わ、私、行きます!」


叶恵かなえ:「先輩!私も付いていきますよ!」


<事務所内から駐車場に出る"志織しおり"と"叶恵かなえ"…>


叶恵かなえ:「普段通りに構えていればね…。まあ、姉さんの事だから、特に問題はないだろうけど…。」


志織しおり:「か、"叶恵かなえ"ちゃん…。やっぱり何か知ってるの?結局、この"立ち入り調査"って、何であるの?」


叶恵かなえ:「"志織しおり"先輩、エスカンパニーの駐車場を見てくださいよ!みたまま…これ、これですよ!」


志織:「駐車場って…会社の営業車が止まってるわね…あとは社長のバイクも止まってる…ほかに何かあるの?」


叶恵かなえ:「(※呆れた言い方で)だから、みたままです。車とバイク!」


志織しおり:「(※素っ頓狂な声で)は、はい?」


叶恵かなえ:「社長は…。姉さんは車とバイクを販売する免許をとるんですよ!」


志織しおり:「(※焦り声で)いやいやいやいや…一体、何のために…。社長が機械いじりや車やバイクとか好きなのは分かるけど、販売までは…流石に…。」


叶恵かなえ:「(※呆れた言い方で)先輩が言われるその"流石に…"の販売をするらしいですよ!」


志織しおり:「(※焦り声で)いやいやいやいや…理由が分からない…。エスカンパニーの仕事もあるじゃないですか?」


叶恵かなえ:「あっ!警察の方じゃないんですか?」


<青いスーパーカブに乗った"警察官"がエスカンパニーに近づき、遠目で会社名の看板を確認した後、停車する。>


志織しおり:「こんにちは!」


叶恵かなえ:「お疲れ様です!」


警察官:「こんにちは!えええっと、"緒妻 憂おつま ゆう"さんの株式会社エスカンパニーは、こちらで間違いないですか!」


志織しおり:「はい。間違いないです。」


警察官:「それじゃあ、"緒妻おつま"さんはいらっしゃいますか?」


志織しおり:「はい。社長を直ぐにお呼びしますね!」


<憂を呼ぶために事務所内に戻る"志織しおり"…。直ぐに"ゆう"と"志織しおり"が事務所内から出てくる。>


ゆう:「こんにちは。お疲れ様です。今日は宜しくお願い致します。」


警察官:「そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ!もう、"書類審査"と"署内会議"でほぼ認可は決まってますから…。ただ、本当に申請された書類通りであるか一応の為の"立ち入り調査"です。とりあえず、事務所が見取り図通りなのかの確認と、あとは"風評調査ふうひょうちょうさ"ですね。」


ゆう:「ふ、"風評調査ふうひょうちょうさ"ですか?」


警察官:「はい。このあたり一帯に住まわれているご世帯に全員に聞き取りに行きます。それで、問題なければ、この調査は終わりです。」


志織しおり:「"風評調査ふうひょうちょうさ"もあるんだ…。"叶恵かなえ"ちゃん、知ってた?」


叶恵かなえ:「先輩!私がそんな事知りませんよ!」


志織しおり:「た、確かに…そうよね…。」


警察官:「じゃあ、"緒妻おつま"さん、事務所を拝見しても良いですか?」


ゆう:「はい。巡査さん、宜しくお願いします。」


警察官:「それでは、お邪魔します…」


<しばらく、事務所内の様子と見取り図を見比べる警察官…。>


警察官:「見取り図の通りですね。問題はありませんでした。経理関係は別の帳簿でお願いしますね。」


ゆう:「はい。分かりました。」


警察官:「あとは…。そうそう…8月にここは"豪雨で浸水"されていたんじゃあないですか?」


ゆう:「そうです。"床上浸水"で1メートルほどの深さまで…。」


警察官:「本当にそれは大変でしたね…。だから、"自動車販売とバイクの販売免許"を取られると聞いていたもので…。」


ゆう:「はい。私や、同じように浸水した人。まだ、改修工事も終わらずない同じ商売人の方々の為にもって…。」


警察官:「それなら"風評調査ふうひょうちょうさ"も問題なく終わりそうですね…。ちょっと、私のバイクをこちらにしばらく置かせてもらっていいですか?」


ゆう:「はい。勿論!」


<事務所から外に出て、バイクのリアボックスから書類を取り出す警察官。>


警察官:「それじゃあ、すいませんが、置かせておいてください。1、2時間位で戻ります。」


ゆう:「ありがとうございます。宜しくお願い致します。」


<荷物を抱えて歩き出す警察官…。その姿を見送る3名…>


志織しおり:「しゃ、社長!」


ゆう:「ど、どうしたの…。」


志織しおり:「(少し怒気をこめて)"自動車販売とバイクの販売免許"って何ですか!私、何も聞いていないんですが…。自動車やバイクなら別に"福山ふくやま社長"の所や"田島自動車たじまじどうしゃ整備工場せいびこうじょう"さんとかがあるじゃないですか?」


ゆう:「そうね…。"普通の車やバイク"ならね…」


志織しおり:「(※素っ頓狂な声で)は、はい!?」


叶恵かなえ:「"志織しおり"先輩…。」


志織しおり:「か、"叶恵かなえ"ちゃん…な、何?」


叶恵かなえ:「これが例の"ブイ作戦"の準備らしいですよ!」


ゆう:「そう、これが例の作戦…"ブイ作戦"に必要な事なのよ!巡査さんの"風評調査ふうひょうちょうさ"とちゃんと"販売免許"がもらえるまで…。詳しい話は待っててもらえる…。実はね…この作戦は"志織しおり"ちゃんのお母さんも1枚噛んでるのよ!」


志織しおり:「(※素っ頓狂な声で)わ、私の"お母さん"って…あの"お母さん"ですか?」


ゆう:「そう、"ADKえーでぃーけー"(天乃電装あまのでんそう工業こうぎょう)の"天乃 栄あまの さかえ"社長も、この作戦の関係者なんだ~♪だから、もう引き下がれないんだよね~♪でも、この”販売免許がとれるかとれないか”で状況が変わるの…。だから、その時がきたら本当に詳しい事を話すから、それまで待ってて!」

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