第32話 出港!!!!

Ahoy!!アホーイ どう、取れた?」


休日の釣り場のオッサンみたいな声を上げて、船の上から船長が手を降ってくる。


Ahoyアホーイ! 大収穫ですよ。」


俺は手を振り返して言う。


「これと、これです。採れたてホヤホヤですよ。」


船に登って真正面に精霊さんを抱えて船長に見せる。


「僕を野菜みたいに扱わないでくれる?」


大人しく俺に抱かれていた精霊さんが、ムスッとした顔で言う。かわいい。


「うぉお、随分と可愛い子じゃん。どったの?」


船長が精霊さんの頬をぷにぷにとつついて言う。精霊さんが不服そうな顔をするのがかわいい。


「青の神剣を守る精霊らしく、神剣と一緒に攫ってきました。」


俺は精霊さんが背負っている剣を指さして言う。

なんか神剣のほうがおまけみたいになってるけど、本来の目的は神剣で、精霊さんがおまけなんだよな。


「その説明でわかるの? 誤解生まない?」


攫ってきたという言葉に反応して、心配そうな顔で精霊さんが俺を見上げる。


「なるほどね! ご苦労さん、これで七つの大財もあと三つ!!」


だがそんな心配はいらない。俺と船長の仲だ。大抵のことはニュアンスで伝わる。


「えぇー、それで伝わっちゃうの?」


「そりゃ、船長だし?」


うっそーんと言いたげな精霊さんに、俺は言う。


「元帥だし?」


船長もノッて俺の方を見てくれる。


「……何も言わないよ。」


二人してニヤニヤして見ていたら、精霊さんが呆れたようにつぶやいた。

何だよツンデレかよかわいいかよ。


「じゃあ、一旦ホームタウンに戻ろうか!」


一通りいじり終わったので満足したのか、船長がうーんと背伸びをしながら言った。


「あぁ、了解です。」


ホームタウンというのは、読んで字の如く俺達のお家のような都市のこと。


元々船長のお父さんが住んでいた港町で、そこまで大きくないがそこには船長のお父さんの像が立っているなど、全面的に俺たちを迎えてくれている。


なんて温かい街だ。そのせいで国から冷遇されていないといいけど。


「みんなぁ!! 七つの大財ここに至れり!! 青の神剣を得た我ら、止められるわけがぁっ!!?」


船長はいつの間にか精霊さんごと青の神剣を抱えて、船の一番上に登っていた。

彼女の叫び声が響き終わった後、


「「「「なぁぁああああいっ!!!!」」」」


男どもの歓声が響く。


いつ聞いても暑苦しいが、まぁこんなのもいいだろう。


「本拠地目指してしゅっこーう!!!」


「「「「よーそろぉっ!!!!!」」」」


こうして俺たちは七つの大財の一つ、青の神剣を手にしたのだった。



俺たちの航海は続いていく。


いつか海賊王と呼ばれる、その日まで―――――
















☆ ☆ ☆


年内で完結できましたぁ!!


お付き合いいただき誠にありがとうございました!


正直まだまだ伏線はありますし、消化不良のところもあるかと思いますが、作者がこれ以上書けないというで申し訳ありません。ここでの完結となります。


最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございます。


またどこかでお会いできることを願っております。


どうぞ、ご贔屓に。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

海賊王になりたい船長のお胸の大砲が最強すぎて負ける気がしない 俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き @Ch-n

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ