第22話 後始末
森の中も結構修羅場だった。周りには小鬼の死体がゴロゴロしてる。腕はリンが処置してくれたようでラントが大活躍だったみたい。
「みんな揃ってる?」
「大丈夫だ。誰も怪我はしてない。凄い音がしたが向こうはどうなったんだ?」
「親玉も倒したから心配しないで。死んだ人はいないみたいだし。向こうに移動したいけどいいかな?」
「構わん。やってくれ」
「隣と手をつなぐか体に触ってくれ」
俺以外は身体に触れてないと移動できないんだよね。確認してラントの肩に手を置く。遠隔視で移動先を確認してから
『移動』
「うおっ!」
マットが振り向いた所に出たら驚かれた。アレックスもキョロキョロしてる。
「リンさん、まだ大丈夫?出来たらカラーラさん手伝ってあげて。ラントさんも動けるならみんなの状態確認お願いします。良かったらこれ飲んで。少しは元気になるから。こうやって回すと蓋取れるからね」
背負っていた麻袋の内側に張り付けた異次元ポケットから取り出したファイトイパーツな奴を渡す。ポケットは取り外しできました。どこまで青狸猫仕様に忠実なんだよ。一生、腹に付いてるよりはマシだけど。
「ポーションなの?」
「そんなような奴だよ。匂いはアレだけど甘くておいしいよ。クラーラさんにも」
そう言いながら自分も一口飲む。俺もちょっと疲れた。気分だけだけど。ふと、見上げると日が暮れかかってる。あちこちで小屋が燃えてるから気が付かなかった。
外の声が大きくなってきてるのは森に入ってた奴らが戻って来てるからか。予定だとこれから帰還部隊の殲滅しなきゃいけないんだよな。
うむ、実にうっとおしい声だ。シールドの外を睨みながら考える。『
「「「グギャーギャーグワー」」」
鳴き声がひと際大きくなって、生きてる小鬼も死んでる小鬼も仲良く燃え上がる。うん、しばらくすれば静かになるだろう。あっ、耳取ってない。
そういえば俺が動いてもシールド消えなかったな。少しの時間なら大丈夫なのかな?
そんな事を考えながら視線を戻すとマット達の視線が…。
「…お前、えげつねぇな」
いや、五月蠅いよりはいいでしょ?
「しっかし、
黒焦げの将軍を見上げながらマットが呟く。胸をグッと押したら枯れ木のように倒れて、その衝撃でグズグズに崩れた。
うん、完全にオーバーキルだな。
「こりゃ何だ?魔法なのか?お前、何者だジン?」
「ただのチョット変わった魔法が使えるフツーの一つ星冒険者?」
「何で疑問形なんだよ。で、どこに普通があるんだよ。雷魔法に転移魔法が使えるような奴が普通なわけねぇだろう。何でこんなとこで冒険者なんかやってんだ。王都なら元老院のジジイ共が手土産もって馬車で迎えに来るレベルだぜ」
「私も聞きたいことはあるが、とりあえず
コンラートが周りを見ながら呟いた。つられて俺たちも周りを見ると、そこら中に小鬼の死体が転がり、地面は青い血が染み込み黒く変色している。
「違げぇねえ。そっちを片付けてとっととここを出よう」
「そうだね。
マットとコンラートが互いの顔を見てから俺に向かって言った。
「「それを早く言え!!」」
二人は慌てて魔石の回収に動き出した。
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