名の無き半妖

哉子

零 今世へ

前世は妖だった

変化しか能力のない小さな存在


世に合わせ、すり抜け、己を見失い

山奥へとこもった

本当の自分を見つけるために


山奥で思考するは

元の自分の姿

その為に、我が子を

無数に作り出した


変化とは異なる創造物

全てが私なのだろうか

私の身を削り、欠片かけらを集め

自分を作り上げて言った


それも限界が来ていた


妖とは人ならざるもの

人や神以外は悪とされる

絶対神の手により断罪を

我が子ら共々消し潰された


悲しきや

悔しきや


来世は、人へ

生きる権利のある人へ

そう願い、生を終えた


輪廻りんねを潜った妖は

如何に見出されたか


全てが中途半端の半妖

人とあやかしの産み落としたもの


人にもなりきれず

あやかしにもなりきれず

自分は何者なのか


前世で操った変化の力は

皮肉にもそのままだ

またも繰り返すのだろうか


繰り返さない

繰り返さない

繰り返してなるものか


それならば変化をもって

世を眺めようじゃないか

全てに順応できる

しかしそれは己の為に


何の力も持たぬ

吹けば飛ぶような半妖は

世を眺めて己を見定める


何を己とするのか

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