第11話 コラボ3
土曜日。
”たまも”と予定していたコラボ配信当日。配信前にテストでゲームを起動したり音量の調整などをするが俺の場合にはテストのテストが必要になる。
「ボイチェンの調子も確認しとかないとな」
いつも配信前には入念なチェックを行うが今日はいつも以上に慎重だ。
使ってるボイチェンはいつ壊れてもいいように予備まで買って備えている。
『あ~。こんなな~』
ボイスがちゃんと変わっているかだけでなくノイズが乗っていないかなども確認する。
『ん、ん~。どんな感じ? 大丈夫かな?』
普段のテストは一人で行うが今日は千鶴に手伝ってもらっている。今までは康介にお願いしていたが今日は仕事だったため新人マネージャーにお願いした次第だ。
『完璧~! ”なな”ちゃんちょっと私の名前呼んでみてー』
『職権乱用してんじゃねー、ちゃんと仕事しろ~』
『してんじゃん~完璧よ完璧』
『ホントかよ? ノイズ乗ってないよな?』
『大丈夫、大丈夫!』
微妙に信用できない返事をしてくる。しかし、これまでの仕事ぶりを思うとあながち適当な仕事をしているわけでもない。真面目かはともかくいい仕事はしてると思う。
『それなら了解。ゲームの方はどうだ?』
『”なな”ちゃんその口調やめてよ~、いつものでお願い』
『やかましい、ゲーム音とかと変に干渉してないか?』
『ん~、おっけ。問題なし』
『あいよ、そんじゃあ次は~』
こうしていくつかのテストをして配信の準備を小一時間ほど行った。
〇〇〇
夕方。
”たまも”とのテストをする時間。
千鶴としたテストの設定もそのままにDiscordにインする。
すると既に”たまも”がインしていた。
『おつかれ~、遅くなった?』
『いや、妾も今入ったところじゃ』
『あ、そう? それじゃあ、さっそくだけど一緒にゲームできるか試してみよー』
『了解なのじゃ~』
そんな調子で配信テストをすること1時間。配信の細かい内容や時間を詰めていった。
配信時間は1時間。ゲームは全部で6つやることにした。ちょいちょい雑談を混ぜつつやっていこうということになった。
『それじゃあ、また夜によろしくね~』
『分かったのじゃ! こちらこそよろしくの~』
そして一旦配信開始までお開きとなった。
〇〇〇
配信予定時間。
予定した時間になり、配信を開始する。OPを流し終えてまずは〈子月なな〉一人で登場する。
『みんな~こんなな~!』
『今日は前から告知してたコラボだよ~! 準備はいいかー?』
:キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
:マジで楽しみ
:ふむ
:やったー
:
:
:
コメントが盛り上がってきたところで”たまも”の登場である。
『それでは”たまも”ちゃんどうぞ~』
『お邪魔しますなのじゃ~、〈九重たまも〉なのじゃ! よろしくお願いするぞ!』
『はーい、よろしく~』
:いらっしゃーい
:きたーーー
:たまも可愛い
:かわいい~
:
:
:
さっきよりもコメントが盛り上がりもう読めないくらいのスピードで流れていく。もうこれだけでコラボは大成功といってもいいだろう。
『それじゃぁ、今日は久しぶりの「アソビ対戦」! やっていこうと思うよ! ”たまも”ボコっちゃうよ~www』
『何じゃ、妾に勝てると思うとるのか? 返り討ちにしてやるわ!』
『はーん、それじゃあ最初は「リバーシ」で勝負だ!』
こうしてコラボ配信が始まった。
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