記録 10ページ目
幼馴染さんの発言により強烈な吐き気を催した俺は、すぐに家に帰り死んだように寝た。
神様はドSらしい。
俺は目覚まし時計の音で普通に起きたかったのだ。美少女の囁きで目覚めるだとか一生叶わないようなことを望んだわけではない。
ただ、普通に目覚まし時計の機械的な音で起きたかったのだ。
アホなお隣さんの叫び声で起きるとかそんなもん誰も望んでねぇよ!
仕方がないのでアホな人の部屋まで行く。心配だからではない。俺が二次災害の被害者にならないようにするためだ。
インターホンを鳴らす。出てこない。ドアノブを握る。開いた。
戸締りから教えないといけないな。
やばい、血管が破裂しそうなんだけど。
「朝っぱらからなんなんですか」
「どうしよ、どうしよ! 今日のスピーチの原稿まだ書いてないんだよ!」
「知らないっすよ!」
アホなの? この人。アホだわ、この人。
「あっ、いいこと思いついた」
「ろくでもないこと言わないでくださいね」
「いつもみたいに桃栗に書いてもらえばいいんだ!」
「やめてあげてください」
どうすればいいんだー、とか叫んでますけど俺には関係ないし。お腹すいたから朝ごはん食べたいし。
「じゃあ帰りますね」
「なっ!? 薄情者! 薄情者の使い方あってるかな? とにかく、桃栗が書いちゃいけないんだったら君が書きなよ!」
「は? 無理です」
アホな人に掴まれる前に部屋を出る。人のスピーチの原稿とか誰が書くかよ。
過労死しそうな俺が部屋に戻ると、俺のスマホがピロンと鳴る。メールかな。
メールを開くと爆弾がぶち込まれていた。差出人はあのアホな人の幼馴染さんである。
『美緒を学校まで連れてってねー! 今日から私は美緒の送迎は一切しません。よろしくね〜♪』
スタ連した。
悪いのはアホな人なんだけどさ。イラッとしたから。
というか、あの人いつも幼馴染さんに学校まで送ってもらってたのか。大変だな、幼馴染さん。
これから毎日アホな人を学校まで連れて行けと? 地獄だわ。
その後、朝ごはんを食べているとまたメールがきた。
差出人は幼馴染さん……。メールを開きたくない。しかし、もし重要なことだったら?
震える指先で画面をタップし、メールを開く。
『美緒の毎日のお世話リスト』
スマホを放り投げた。やべ、画面割れてないかな?
画面を見るが割れていない。割れていたらあのアホな人を十発は殴っていた自信がある。
わざわざメールで送ってくるリストだ。たぶん、やらないと大変なことになる。例えば、お隣さんが変死体になって発見されるとか。
そして、リストの内容を把握した俺の感想はただ1つ。
あれ? お隣さんって幼稚園児だったっけ。
世界中の幼稚園児の皆さんごめんなさい。あのアホな人と比べれば幼稚園児の皆さんは立派な大人です。はい。
引っ越し先どこにしよう。
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