2020年3月17日(火)


 突然ですが、今日から日記をつけることにしました。

 前にスマホカバーを売ってくれたハンドメイド作家さんが、同じカバーの手帳を販売してるのを見つけて衝動買い。

 でもせっかく買ったのにただ置いておくだけなのももったいないから、何に使おうかしばらく悩んだ結果、日記を書こう、と思い立ちました。


 とはいえこれは日記というより、手記と呼んだ方が正しいかもしれない。

 ネットで調べてみたら「日記」はあくまで自分のためにつける日々の記録であって、備忘録みたいなもの。対して「手記」は、同じく記録としての側面を持ちながらも、人に読まれることを想定して書くものだとありました。

 だからたぶん、これは日記よりも手記的なものになると思う。

 私はいずれこの手帳の中身が誰かに読まれることを前提に、今日まで考えてきた色々なことを書き残しておこうと決めました。


 ……ううん。やっぱり「誰か」なんてぼやっとした書き方はやめよう。だって、最初にこの手記を見つけて読むとしたら、お母さん。あなただと思うから。

 だからここでは、お母さんに対する私の正直な気持ちも書いていきます。

 今までずっと思ってたけど言えなかったこと、たくさんあるんだ。

 でも直接伝える勇気がないから、ここにこっそり書いていく。もちろん私の予感がはずれてくれれば、そもそもこんな手記なんて残さなくて済むんだけど。


 まあ、もし全部が杞憂きゆうだったなら、そのときは手帳ごとなかったことにすればいいよね。だけど、きっとそうなっても……優星ゆうせいくんとはもう二度と、もとどおりにはなれないんだろうな。私は今でも、彼と別れたのは正解だったと思ってる。

 だからちっとも後悔してない。だけどたとえ長生きできたとしてもこれから先、優星くんのいない人生が死ぬまでずぅっと続いていくんだなあと思うと……。


 ああ。


 やっぱり、すごくつらいや。

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